ロシア極東情報は地方発信から

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1993年、ロシア極東との交流を考えウラジオストクに事務所を構えて今年で10年目を迎える。設立の目的は、ロシア極東地域の情報を日本へ提供して、日本とロシアの地方の経済交流に何か役立てば、という軽い気持ちでスタートした。しかし、ご存じのように日ロの経済交流は互いの経済の「ミスマッチ」もあり、なかなかこちらが思うような状況には進まなかった。そこで、その時々のニーズにあわせた仕事をやりながら(必要に迫られ)、10年間情報誌の発行を続けてきている。現在の弊社の事業は、「情報提供サービス」、「交流サポート」、「貿易」という三つの柱に分かれる。

この10年間、新潟とウラジオを往復しながらロシア極東をウォッチしてきた。また、ロシアサイドの視点で日本や日本企業を見ることができたことも参考になっている。この仕事をやらせていただきながら、感じたことを述べさせていただく。

地方の情報交流

弊社は、ロシア極東の週刊経済情報誌「ダーリニボストーク通信」と月刊「ロシア極東通信」を発行している。週刊誌については発行から10年、月刊誌は3年目となる。最近は、数少ないロシア極東の日本語の経済情報誌として認知をいただいている。日本語のロシア情報も多くなりつつあるが、モスクワのニュースが中心で、極東の話になるとがぜん少なくなる。やはり、もっと極東の情報が巷に氾濫することが関心を高める重要なファクターとなるはずである。

その中でも、地元新潟の新潟日報が毎月末に1頁の紙面を割いている「にいがた国際便」は、全国紙にはないユニークな内容となっている。その紙面は同紙が記事交換をしているロシア極東、中国東北部、韓国の新聞社の記事を翻訳して掲載をしている。しかし、もっと欲を言えば、月に1回は記者が現地に赴き、隣国の生の情報を伝えるくらいの気概があっていいと思う。

ウラジオには、北海道のテレビ局2社と新潟のテレビ新潟1社の民放3社とNHKが支局を開設していた。しかし、昨年までにNHKを除くこの3社は支局を閉鎖している。表向きの閉鎖理由は、ウラジオの役割が終わりモスクワで極東も管理することができるようになったからという。本音は、「東京から見た」ニュース価値として、極東のニーズが無いことと費用対効果の面から合わないことが理由であろう。私の意見としては、海を隔てた隣国をウォッチする重要な意味を含め、地方局が独自のニュースを流す努力をしてほしかったと思う。また、日本へのニュースは日本人の観点で取材しないと理解できないことも多い。モスクワの市民はウラジオストクやハバロフスクがどこにあるのか分からない。そんな地域の情報を、中央で本当にフォローできるのだろうか。

互いのウォッチも必要

1993年、太平洋艦隊が水溶性放射性廃棄物を日本海へ不法投棄していた事実が日本海側の住民を驚愕させたことは記憶に新しい。日本のメディアがこの事実をすっぱ抜いたために大問題となり、その後の投棄は中止となった。この情報を日本側へ提供したのはロシア人ジャーナリストであった。

これは他人の空言でなく、新潟県は世界一の出力を有する原子力発電所をもつ。もし、何か起きた際には隣国への正確かつ素早い情報提供が我々にも課せられている。隣国同士が付き合うには、スピーディに正確な情報が行き来することがこれからも必要であることは言うまでもない。そして、互いの行動をウォッチしていくことも、また重要であろう。