期待される輸送路の活性化

|ロシア

正月の数日前に入ったニュース。全部で74年間ほどかかった世界最長のシベリア鉄道の電化作業がついに完了された。沿海州にある小さなルジノ駅で豪華な完了式や花火大会が行われた。

電化の完了は大きな経済的効果を上げることが期待される。ディーゼル機関車は、最大出力のものでも4千トン未満の貨物列車しか牽引することができない。これに対し、電気機関車を利用すると、6千トン規模までも可能となる。しかも、運賃コストは25%削減され、スピードは80キロから120キロまで上がる。

電化の完了は、東アジアとヨーロッパを結び付ける国際的な輸送路としてのシベリア鉄道の魅力も大きくするだろう。

上述の動きは、シベリア・極東等の国際的な輸送路や物流の拠点を整備するロシアの戦略が益々活発化しており、一定の成果を上げ始めている一例とみることができる。

ロシアの物流業にとって2002年は高度成長の1年となった。海上の貨物輸送量は前年比で8%、港湾の貨物取扱高は同13%パーセント増加した(速報)。極東ロシアの主要な港湾であるボストチヌィ港の1月から11月までの貨物取扱高は1万4,849トンに達し、前年同期比で30.8%増、ウラジオストク港は(1月-9月)同4,400トン、30%増となった。このような大幅な増加は、主として輸出入貨物の取り扱いの拡大に起因する。稼働率が低いことが問題視された極東ロシアの港湾がよみがえる兆候が見え始めている。

シベリア鉄道の電化、港湾の整備拡大、高速度の「コンテナ列車」の導入と運賃の引き下げ等は、シベリア鉄道を核心とする通過の輸送路であるシベリア・ランド・ブリッジ(SLB、ロシアで今、「東西国際輸送コリドー(回廊)」という)の競争力の強化にもつながっている。2002年には、東西コリドーの貨物輸送高は前年比で38%の着実な伸びを見せた(2001年は同25%)。

今後、その国際的競争力を高める戦略の焦点として、シベリア鉄道と、韓国と北朝鮮を結び付ける朝鮮半島横断鉄道との接続が浮かび上がっている。ロシア鉄道省によると、ロシアの専門家チームはその鉄道が通る北朝鮮の領域の調査を終え、今年末まで鉄道の建設事業をスタートするために必要なFSを実施する。

朝鮮半島横断鉄道を建設し、シベリア鉄道とリンクさせることができれば、SLBを通る年間の通過貨物量の増加は、50万台の20フィート・コンテナに相当する計算がある。その結果、ロシア側の収入額はおよそ10億ドル増える。

朝鮮半島、極東ロシアとシベリアを通るルートは、韓国のプサン港から西欧までの輸送期間が12日間と、今、主として利用される海上輸送路の1ヶ月間前後よりはるかに短くなり、アジアとヨーロッパを結び付ける最短の通過輸送路としてのメリットを活用できると期待される。そうすると、ロシアの物流サービス業における技術革新や貨物管理体制の高度化が一段と進み、SLBの競争力が更に強まっていく好循環が生じるかも知れない。(一方、こうした陸上輸送路の登場が逆に、極東ロシアの港湾の貨物取扱高を減らしかねないことを懸念する反対の声も聞こえている)。

いずれにしても、国際的輸送路を中心としたロシアの物流部門を本格的に活性化させ、競争力あるリード産業にするには、課題も山積している。先ず、物流部門の総合的な管理体制を充実させることが求められる。特に、港湾と鉄道当局者との協調体制を整備する法律、運送業者の行動ルールを明確化する法律、港湾についての法律などを採択し、法体制の整備をもっと積極的に進める必要性が指摘されている。

外交の課題もある。北朝鮮による核開発問題の解決策が見つからない限り、上述の朝鮮半島横断鉄道の建設事業が軌道に乗ることは予想しがたい。だから、その事業に大きな関心を示しているロシア側は、自国の経済的利害を守るためにも北朝鮮に対する働きかけ外交を積極化することが肝要となってくる。その線で、ロシアは朝鮮半島の情勢についての多国間協議体制のキープレイヤーになる姿勢を益々明確に示していくに違いない。