キーワードは”不可逆的”

|朝鮮半島

今年8月27~29日に北京で朝米韓中ロ日による6者会談が開催され、参加各国は「半島の非核化を主張するとともに、朝鮮側の安全保障に対する懸念を考慮する必要があるとの認識で一致」(王毅中国外務次官)した。現在、第2回会談に向けた調整の真っ最中である。

米国側は朝鮮の完全かつ検証可能かつ不可逆的な核放棄を、朝鮮側は米国の法的拘束力のある不可侵保証を求めている。朝鮮半島非核化が参加各国のコンセンサスであるため、焦点は米国側の保証形式の問題である。

かつて朝鮮側は平和条約ないし不可侵条約締結を米国に対し求めていたが、1993年核危機の解決過程において政府間文書という形式で落着した。94年のジュネーブ枠組み合意に際しては政府間文書の保証力不足を大統領書簡で補うという措置もとられている。

ブッシュ政権が前政権による朝米合意を意図的に反故にしてきたことは周知の事実である。朝鮮側の要求は、要するに現大統領の任期終了後も効力がなくならない”不可逆的な”保証である。

不可逆的不可侵保証のもう一つの意味は、それを経済再建に専念する契機にしたいということである。現在、先鋭な軍事的緊張のため、軍隊が軍服を着たままインフラ整備や農業支援を行っている。6者会談参加国の中で、過大な軍事費負担の軽減を最も強く願っているのが朝鮮であることを理解すべきである。昨年の兵役制改正もその布石だといえよう。

クリントン政権時代の朝米関係改善の流れの中で、南北首脳会談と6・15共同宣言、朝ロ関係復元、朝EU正常化など朝鮮半島をめぐる環境が一変しつつあった。ユーラシア横断鉄道に象徴される欧州とも直結する東北アジア経済圏形成の現実化に乗り遅れまいとしたのが、昨年の小泉訪朝であったように思う。前回の核危機に際した朝米対話は東北アジア新秩序の入り口であり、今回の朝米関係清算はその出口であるといえよう。

APEC首脳会談で対朝鮮非難決議を追及し失敗したことの教訓を生かすべきであろう。軽率な行動によって情勢を深刻化させることは厳に慎むべきである。

最後に確認しておきたいのだが、朝鮮は元々、ウラン濃縮計画をもっていないし昨年10月に米大統領特使に対し認めてもいない。今回の核危機の発端は米国(および韓日EUを含むKEDO)による重油提供の中断である。重油提供も経済支援ではなく、実用段階直前にあった黒鉛炉原発システムの放棄に対する補償である。話し合い解決を重視していた朝鮮が抑止力重視に傾いたのはイラク戦争後であり、プルトニウムの用途変更に踏み切ったのは6者会談に米国が手ぶらで参加したためである。米国案が国際社会の期待にそうものとなることをなることを切望する。