「日中韓 経済で緊密化」におもう

|中国

最近、日本、中国、韓国間の関係緊密化を思わせる現象が日常生活のさまざまな面で見られる。たとえば、日本の主要都市では、市街の道路標示、駅名の表示などに、従来の英語のほか、あらたに中国語、韓国語が使われていることが多いし、中国の繁体漢字による看板、韓国語による看板を町中で見かけることも多くなった。また、観光案内のパンフレットに使われている言語も、英語以外では、中国語とハングルが圧倒的に多い。

ところで、7月25日付けの朝日新聞に「日中韓経済で緊密化」という記事が載っていた。表「日中韓の訪問者数と貿易額」は、その中にあった、2002年における日中韓三国間でのヒトとモノの流れ図を、本誌への掲載の都合上、筆者が表に改めたものである。表から、2002年における中国から韓国への訪問者数は54万人、日本への訪問者数は45万人、中国から韓国への貿易額は2兆1900億円、日本への貿易額は7兆7300億円であった、などのことが分かる。

日中韓の訪問者数と貿易額

中国 韓国 日本
中国 54万人 45万人
2兆1,900億円 7兆7300億円
韓国 212万人 127万人
2兆9900億円 1兆9400億円
日本 293万人 232万人
4兆9800億円 3兆5700億円

注:上段は訪問者数、下段は貿易額
朝日新聞国際欄(2003年7月25日)による

表を見て感じることは、中国はモノの輸出超大国であるが、ヒトの極端な輸出小国だということである。一般に、ヒトの流れとモノの流れの間には一種の 相関関係があって、一方が増えると他方も増えるという現象がみられるものであるが、中国から韓国および日本、とくに日本へのモノとヒトの流れに関してはこの法則がまったく当てはまらない。

具体的にいえば、中国から日本へのモノの流れは、7兆7300億円で、三国間の相互貿易額のうちで最高である。ところがヒトの流れの方はわずかに45万人で、三国間における相互訪問者数のうちの最低で、韓国への54万人よりもさらに少ない。

中国から韓国および日本へのヒトの流れが細いことには、中国側、韓国・日本側のそれぞれに理由がある。それにしても、国交回復の1972年から交流が始まった日本へのヒトの流れ(45万人)が、1992年に国交樹立して交流が始まってから10年そこそこの韓国へのながれ(54万人)よりも細いのは一体、なぜであろうか。

その理由の一つは、観光ビザ発給に関する「日中不平等」にある。日本政府の中国人に対する観光ビザの発給条件は、きわめて厳しいもので、団体旅行にかぎって、しかも北京、上海、広東省など3地域の出身者に限られている。つまり中国人の日本旅行は、旅行の形態、参加者の出身地域という二重の制限つきである。また団体旅行に際しても、旅行の参加者が高額のお金を身元保証として旅行社に預ける必要があること、旅行中、不法滞在者の発生を防ぐために、日本側のきびしい監視のもとにおかれることもある。こうした措置のもとで「日中平等」の観光が行なわれているといえようか。かりにこれらが日中両国政府の合意に基づくものであっても、このような高い壁を越えて、敢えて日本に観光旅行をしたいと思う中国人が少なくても不思議ではなかろう。因みに、この9月から、中国政府は日本人の中国訪問に関しては、15日以内であればビザを免除するという…。

かつて中国に日本人居留地、いわゆる租界があったころ、入り口に「支那人と犬、立ち入るべからず」という立て札があったという話(おそらく偽り話?)を思い出すのは、あながち筆者だけではないかも知れない…。