台湾、香港、マカオの選挙から見た中国インパクト

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3月台湾総統選挙、8月マカオ行政長官選挙、9月香港立法会選挙、12月台湾立法院選挙が相次いでおこなわれ、2004年グレーターチャイナは選挙の年であった。それぞれの地域と中国本土の経済緊密化が進む中、選挙結果にも影響が現れている。

中国の恩恵に浴するマカオでは親中派が安定

8月29日マカオでは行政長官選挙が行われ、現職の何厚カ氏が再選され、12月20日正式に第2期マカオ行政長官に就任した。

1999年返還後、マカオは2002年10.0%、2003年15.6%、2004年も20%を越える経済成長を続けている。中国は香港同様、マカオともCEPAを締結し、個人旅行の解禁も進めている。そのため、2004年1-9月では旅行客の57%が中国からであった。第三次産業が93%に上り、ホテル・飲食業、娯楽賭博その他サービス業の比重が高いマカオ経済は、まさに中国人観光客に支えられてきた。また昨年はSARSの伝染を防いだことなど行政への評価は高く、その結果、親中派何行政長官は穏当に再選された。

経済安定と政治民主化の微妙なバランスにある香港

9月12日立法会選挙の結果、民主派が3議席伸ばしたものの引き続き35:25で親中派が議会過半数を占めている。親中派董建華行政長官の行政手腕はSARS対応、経済低迷、香港特別法23条(国家治安法)法制化推進などが批判され、2003年には大規模なデモが行われた。2004年中国は、2007年以降の行政長官と立法会全議席直接選挙実施に反対を表明し、このことから中国政府への反発も高まっていた。一方で、経済は2003年後半から回復基調に乗り、その傾向は2004年に一層強まった。そのきっかけには中国とのCEPA締結や対香港個人旅行解禁があり、中国と安定的な関係構築が香港経済には不可欠であることを市民に強く印象付けた。今回選挙では民主派活動家も当選しており、市民は経済のために中国と安定的関係を構築することを求めながら民主化要求も捨てないという微妙な選択を行った。

中台関係悪化にブレーキをかけた台湾の民意

2004年3月20日陳水扁総統は再選され、与党は得票率を伸ばし野党の地盤である北部への展開も進めた。しかし、与党有利といわれた12月11日立法院選挙では過半数獲得は叶わなかった。

2000年陳総統就任後も中台経済は緊密さを深め、台湾の貿易相手先の第1位、海外投資の半分が中国向けになるなど中台経済は不可分となっているが、政治では膠着状態のままである。加えて、立法院選挙前には台湾正名運動、2006年憲法改正2008年施行など中国を刺激する発言が続いた。

総統選挙後、台湾では中国に進出している緑色企業(台湾与党寄り企業)が差別的な扱いをされるのではという恐れが広がるなど、中台政治の行方には経済界も神経を尖らせている。今回の選挙で与党が過半数を獲得できなかった背景には選挙戦術の失敗もあったが、中台政治の安定を求める民意があったことも大きい。立法院選挙の結果は中台関係悪化に一定の歯止めとなろうが、陳総統の下で一足飛びに政治関係が改善する可能性は低く、膠着状態は当分続こう。

中国の持続する高成長の恩恵をいかに取り込むかは香港、マカオ、台湾にとって重要な課題である。それぞれは内需の規模が小さく外部経済に依存し発展する構造であり、中国とこれら3地域の経済は確実に緊密化している。同時に、政治的なスタンスはそれぞれ異なっていながらも、強弱の差こそあれ経済関係の緊密さに推される形で、香港、マカオ、台湾それぞれの政治も中国本土の影響を受けているのである。