新年2006年 共同社説を読む

|朝鮮半島

年頭、朝鮮では例年のように三紙(「労働新聞」、「朝鮮人民軍」、「青年前衛」)共同社説が発表された。金日成主席逝去後の1995年から主席の新年の辞に代わり、新年の対内外政策の方向が提示されるものとして注目されている。今年の共同社説について、日本の新聞は「対米非難抑制」、「政権維持が目標」というタイトルで報道したが、私は最近の共同社説と比べて新たに三つの点に注目したい。

第一に、タイトルから見られる変化である。過去5年間のタイトルと比べてみても、今年の「遠大なる抱負と信念をもってより高く飛躍しよう」というタイトルはシンプルでありながらも特色あるタイトルである。タイトルの中にある「抱負」、「信念」、「飛躍」という用語を筆頭に、社説本文の中にも「先軍朝鮮の輝かしい開花期、繁栄期」、「社会主義の一大全盛期」というこれまで見られなかった表現が相次いでいる。祖国解放、党創建60周年を迎えた昨年の総括を自信に満ちて表現しており、今年を「全面的攻勢の年」にしようという決意があふれている。タイトルにある「抱負」は、統一と繁栄の新しい未来を見据え、「信念」は、過去10年の試練の中で築き上げた土台に対する自負心、そして「飛躍」は、今年からその土台の上に、新たな発展に転じるという意味が込められているのではないだろうか。

第二に、今年も「先軍」が継続的に強調されている点である。例年と変わりないようにも思えるが、「先軍」の質的変化が見受けられるのでないか。これまで朝鮮で推し進められてきた「先軍政治」に、国内外で起きた様々な試練を克服し社会主義を守る「守り」の意味が込められてきたとすれば、今年の「先軍」は1995年の「先軍政治」の開始から10年の過程で築き上げた力を土台にし、新たな段階に突入するという「攻め」の意味が込められていると考える。もちろんこれは軍事力で他国を攻撃するという意味ではなく、「全面的攻勢の年」という表現にあるように、全般分野において、これまで築き上げた「先軍」の威力を発揮させるという意味である。

第三に、対外分野において対米国に関する比重が減り、対南関係の言及が増え具体化された点にある。また国際社会が注目する6者会談や、朝日関係の表現もない。昨年2月11日の核保有に関する外務省声明、9月11日第4回6者会談共同声明を通し、朝鮮では、対外関係においても一定の区切りをつける大きな成果を収め、今年から新たな段階に入ると認識している。対南関係の言及が今年増えた点は、昨年から「わが民族同士」というキーワードで進展する南北関係に自信を得ている証拠であり、今年、南北関係を積極的に進展させるという決意が込められている。特に注目すべき点は、南に「反保守連合形成」を呼びかけている部分である。2007年の大統領選挙を控え、最大野党・ハンナラ党を牽制しながら金-慮政権と続いた南北和解ムードを逆戻りさせない意図を込めた表現でもあり、「新保守」=「NEW RIGHT」運動が大衆から支持を得るのを牽制した表現であると考えられる。

年始から金正日総書記の中国訪問が報じられた。共同社説で全面的に打ち出した「攻勢の年」を年始早々実践に移す朝鮮政府の意図が読み取れると共に、第5回6者会談の再開問題、南北、朝米、朝日関係と今年の激動する朝鮮半島情勢を予感させる出来事である。