東アジアの新動向から日本海の可能性が見えた

|中国

この数年、中国の話題が途切れることなく、その経済伸張ぶりが連日のように報道されている。その光の部分が強く大きいほど、影の部分すなわち社会の不均衡や政治・環境問題なども大々的に報道されている。いずれにしても、日中ビジネスの最前線では私たちの想像を超えるスピードで変化しているために中国認識が現実に追いつかず、つい先入観や過去の体験だけで判断してしまいがちだ。

一方、日本国内でもビジネスの指向性が静かに大きく変化している。その象徴的現象が少子高齢化と人口減で、縮小する国内市場への対応がそれだ。製造業では、薄利多売から利益率向上の追求へ転換していく中、これまで中国を舞台にした低コスト委託生産路線から、現地の高度人材を活用した研究開発型や高付加価値型、製販協同型モデルが急速に増えている。また体力ある商業サービス分野の企業は中国出店を加速させている。

中国では農村の余剰労働力が問題になる一方、進出日系企業のワーカーに適する人材は不足するというミスマッチもあって賃金が上昇する等様々な制約が増え、労働集約分野では中国を離れ、ベトナム、カンボジアなどのインドシナや北朝鮮国境付近へ移転を始めている企業もある。

さらに、日本企業によるビジネス展開の多様化は、単なる委託加工ではなく、原材料調達はもとより、加工・組立て、流通販売、研究開発、人材育成など各工程をアジアワイドであらゆる組み合わせで複合的に展開するようになった。それは日中や日韓といった二国間関係だけでは捉えられず、アジア・極東という地域複合ネットワークなのである。これは決して大資本多国籍企業だけの傾向ではない。

また、日本の地方が活路を求めて、アジア各地で新たな地域間交流を進めている。外国人観光客や企業の誘致、人材育成などだ。現在は、中国、韓国、ASEAN諸国との間で活発だが、北朝鮮情勢の進展次第では、同国および中国東北部、極東ロシアとのビジネス環境が大きく変化することが考えられる。

その先にあるものは、日本海側の商・物流の活動が更に活発になることを意味し、北海道から九州までの日本海側の各港湾都市を中心に可能性が広がると私は見ている。特にその中心的な役割を担うのが新潟だ。もちろん傍観していてはだめで、中央依存を脱却して自前のネットワークを構築し、近隣競合地とも連携する位のダイナミックな発想で現状を打破した時こそ、日本海側は「裏日本」ではなく「新・表日本」に変貌することだろう。今後の動向から目が離せない。私は、あらゆる経済活動は一人ひとりの情熱と信念こそが新時代を切り開くことを身をもって体感してきた。中国もロシアもしかり、そしてわが国しかりである。

これからの時代を絶好のチャンスと捉え、知恵と行動力を駆使して多くの人たちと共に創造的事業に挑戦し続けていきたい。「現代の知行合一」である。折しも今、サッカーのワールドカップで世界中が盛り上がっている。超一流の国際試合に臨む若きサムライ選手たちに私も声援を送りながら、自らのチャレンジ精神を奮い立たせている。

最後に、これまで3回にわたり本寄稿の機会を与えていただいた財団法人環日本海経済研究所に心から厚くお礼申し上げます。日本海地域の知恵の拠点として益々の活躍を期待しています。