モンゴル・ロシアの2国間貿易と経済協力(経済概観)

|ロシア・モンゴル

ロシアと中国に囲まれた中央アジアの中心部に位置し、北朝鮮にも近いモンゴルでは、10年以上民主主義が続いている。2004年6月の議会選挙の結果と連立政権の形成を見る限り、民主主義は確実に定着している。

1990年の民主化と市場経済化以来、モンゴルは経済並びに社会基盤の発展強化に努めている。政府の適切な施策により、今日、モンゴルは最も自由で開放された経済と貿易体制を持つ国の1つとなっている。

2004年のモンゴルのマクロ経済は、非常に見通しが明るく、GDP成長率は10.6%に達する勢いで、インフレは11%に減少、財政赤字は最低の2%となる見込みである。このような政策を継続するために、政府の新行動計画が作成された。

この2004~2008年の行動計画で、モンゴル政府は安定した民間部門主導型の経済成長と民主主義の達成を確立することを目指している。

外国貿易はモンゴル経済に重要な役割を果たす。1997年の世界貿易機構(WTO)への加盟以後、モンゴルは貿易体制を大幅に自由化している。この自由化には関税率の引き下げや、多くの輸入免許の廃止などが含まれる。モンゴルの貿易政策は、総じて、効果的な政策によって経済成長を図ることであるが、鉱工業や農業、サービス部門の促進と輸出の増加を目指している。

貿易総額の50%以上はロシアと中国が占めている。主な輸出品目として、ロシアに向けては牛・馬肉などの動物由来品や、ホタル石・銅精鉱や金などの鉱物、中国向けには銅・モリブデン精鉱、ウール、カシミア、皮革や皮などである。両国への輸出の大半が農業製品であることから、技術的障害の影響を受けやすい。また、ロシアがWTOに加盟申請中であることから、ロシア市場への参入はさらに困難になり、モンゴル伝統品に対する輸入税は急激に上がり、外国貿易活動により多くの費用がかかるようになっている。特に、ロシアの輸送コスト並びに輸出税増加がモンゴル貿易全体にマイナスの影響を及ぼし、2国間貿易赤字は年々増加の一途を辿っている。2003年現在で対ロ貿易は1995年から10%落ち込む一方、対中貿易は3.5倍に増加している。WTO加盟の枠組みの中で、モンゴルは商品の関税について2000年からロシア側と2国間協議を開き、両国は2005年7月に無事交渉を終えた。

モンゴルの輸出品は、銅・モリブデン・ホタル石精鉱、金などの鉱物や、ウール・カシミア・皮革や皮・肉・内臓などの繊維製品・動物由来原料で、鉱物・繊維製品が輸出全体の60%以上を占める。主な輸出相手国は、中国、アメリカ、EU、ロシア、シンガポールである。モンゴルは、アメリカ、EU、カナダ、日本、ロシアの一般関税特恵制度により、輸出品目の特恵関税を受けている。

モンゴルでは輸出品目に比べて輸入品目の幅が広く特定のものに集中していない。例えば、2003年の輸入全体の21%を重機械、設備、電化製品が占め、燃料が21%、自動車が11%、繊維製品が10%、食品・食料品が8%であった。これらの製品で輸入全体の70%以上を占める。

政府は、開発と外国直接投資の優先部門として、鉱業、情報技術、農業、インフラ、観光を特定部門に指定した。これらの部門の設備や重機械の輸入に関しては、関税と付加価値税が免除されている。

政府は外国直接投資を経済発展の重要な推進力とみている。年間6%の経済成長を確保するという目的達成のため、行動計画の中で外国直接投資を保護する環境作りを謳っている。

ロシア・モンゴル間の経済協力

モンゴルはロシアとの協力を対外政策における最優先事項の1つと考えており、それは政策概念に中にも盛り込まれている。対外的なバランスを保つ意味で、その他各国との関係との協力を深める活動にも力を入れている。

1993年1月にモンゴルとロシアの間で結ばれた「友好関係協力協定」により、現在の2国間関係における新しい法的基礎が作られた。「貿易経済協力に関する協定」・「貿易経済技術協力の委員会設立に関する政府間協定」(1991年)および「投資の促進と相互保護に関する協定」・「所得と財産に対する二重課税回避に関する協定」(1995年)など、2国間協定の策定により法的基礎が新しく作られている。

モンゴル・ロシア政府委員会は、1992年のウランバートルでの第1回目を皮切りに10回の会議を開き、2国間の貿易・経済・科学・技術における協力の拡大と発展に関する当面の課題解決に向けて具体的な対策を立てている。モンゴルとロシアの政府間委員会の活動として、地方や国境地域における協力に関する小委員会が4回開かれており、貿易協力上の問題を話し合うことを通じて、2国間ビジネスに現実的なサポートを与えている。

対ロ貿易

2004年の2国間貿易額は、前年比15%増の3億5,460万ドルに達したが、輸出額は1,810万ドルに落ち込み、輸入は3億3,650万ドルであった。

外国貿易に占めるロシアの割合は過去5年間減少し続けている。モンゴル向けのロシアの輸出量が増加し、ロシア向けのモンゴルの輸出は額・量共に減少していることから、貿易赤字はさらに増える傾向にある。現在の輸入税、付加価値税、鉄道関税率が高いことが、依然としてモンゴル製品の輸出と種類の増加にとって大きな障害となっている。

モンゴルは、近隣諸国が加入する以前の1997年にWTOに加盟している。中国は2001年、ロシアは現在申請中である。

ロシアからの投資

2004年現在、ロシア企業からモンゴルへの投資は412社、3,610万ドルであった。

モンゴルに投資している73カ国中、ロシアは6位である。ロシアの投資の大半は中小企業や個人であることから、その資本生産能力は極めて低い。鉱業や銀行部門を除き、ロシアの企業経営は不十分であり、3~4年で手を引くところさえある。主な失敗の原因は、投資環境・市場の調査不足、法や規則に関する知識の欠如、パートナー選択の誤り、資本の生産能力である。

モンゴルには、ロシアの投資家を惹きつける可能性が他国に比べて多い。例えば、関係が長年に亘っているだけでなく、ロシアとは社会的協力面や、航空・鉄道・自動車でも直接的につながっている。また、言葉の壁が低い。

モンゴルとロシアの企業間の会議をみれば、協力の関心や希望が双方とも非常に高く、とりわけロシアの中小企業は、モンゴルの税制度がロシア国内に比べて有利で融通が利くという点を挙げている。

ロシア投資家との今後の協力には、次のような原則について話を詰めていくべきである。

  • 双方の購買能力を考慮し、主に中小企業を支援する
  • 家庭用ガスの利用、採掘、建設、建築資材の製造、電気・食料品産業、観光、科学部門にロシア企業の投資を誘致する政策を堅持する
  • 投資の可能性を宣伝して2国間協力を発展させるため、会議、セミナー、展示会に国境地域や地方の機関を巻き込んでいく

ロシアとの地域協力

国境地域や地方レベルにおける協力は、2国間の貿易と経済協力に大きく貢献する。イルクーツク州、チタ州、ケメロボ州、トゥィヴァ共和国およびブリヤート共和国との貿易額は、対ロ貿易全体の70%を占める。モンゴルが輸入する石油の90%はロシアが占めている。国境地域と地方レベルにおける貿易・経済協力に関する協定を締結した結果、地域協力が拡大した。2000年からイルクーツク、ブリヤート、ノボシビルスク、ケメロボにおいて貿易センターが活動している。

モンゴル人学生は、チタ州、ノボシビルスク州およびケメロボ州の知事がスポンサーとなった大学や研究機関で学んでいる。ビジネスマンはモンゴルを訪問して会議や商品展を開いた。トゥバ共和国とウラーンゴム(モンゴル西部の州)は、トゥバの駐在員事務所をウラーンゴムに開設したのに加え、毎年貿易フェアを開催している。さらに協力を深めるために、次のような問題に注目したい。

  • WTOの原則と規定に沿った互恵措置に基づき、様々な地方協力の発展を強める
  • モンゴルとロシアの地域間協力を進めるため、国境地域に住む住民の製品の交換や自由貿易における法的基礎固めを進める
  • 特に輸出国および輸入国双方の潜在性や企業の能力を見極めつつ、シベリアにある企業との貿易をさらに拡大するために、シベリアの市場を注意深く調査し、協力方針を決定していく
  • 経済貿易自由地帯の発展を目指し、ロシア企業の参加数を増やし、投資を誘致し、貿易額を増加させる手段をとる
  • 輸出入商品の品質確認と相互引受けに対する協力協定の導入およびその修正を促す
  • 獣医分野における協力協定の適用と、協定変更の修正問題についての調査を行う

モンゴルは、経済並びに財政分野の安定性を確保し、民間部門と技術構造改革を通じた輸出と外国投資の増加による経済成長を目指し、農業・サービス部門拡大の枠組みの中で自由経済貿易地帯を設立する方針を発展させるため、具体策を講じている。

[ERINA翻訳]