韓米FTA、韓国の交渉能力が試される医薬品分野

|朝鮮半島

韓米自由貿易協定(KORUSFTA)第3回本交渉が9月6日から4日間、米シアトルで開催される。韓米両国はこれに先立ち、8月14日に農産物と工業製品、繊維の3分野に対し、関税引き下げのドラフト(譲許案)を交換した。現在進められているFTA交渉は、原則として米国の貿易促進権限(TPA)が終了する2007年6月までに終わらせるつもりではあるが、予定どおりに進むかどうかは予断を許さない。すでに3回目の交渉に向かってはいるものの、国内で反対の声はいまだに高いからである。

大韓商工会議所が、最近、KORUSFTAに対する620社の国内企業を対象に調査した結果、65.8%が「積極的に推進すべき」と答えたように、製造業界では世界最大市場への輸出増大を期待している。しかしながら、KORUSFTAは単に自由貿易を求めるだけではなく、それを妨げると思われる互いの経済制度および法律など、経済システム全般の変化をも目指すものである。すなわち、KORUSFTAは貿易の自由化をはるかに超えて、非常に幅広く深い経済統合を求めるという特徴があることを見逃してはならない。これはもちろん、アメリカよりは韓国にとって、これまで経験したことのない相当の挑戦となるのは必須である。だからこそ、韓国内ではKORUSFTAが韓国の経済システムを否応なしに英米式に変え、グローバルな競争力をもっているアメリカ企業の利潤確保のため、国内政策の自律性と公共性が揺るがされるのではないかと懸念する向きが少なくない。

医薬品分野はこうしたKORUSFTAの危うさを凝縮しており、韓国側がこれを如何に巧みに解決するかでKORUSFTAの成功を占えるといっても過言ではない。

7月にソウルで開かれた第2回交渉の医薬品分野では、韓国が健康保険での薬価策定適正化を目指し推進しようとする「医薬品の健康保険選別リスト方式(ポジティブ・システム)」に米国側が反発し交渉自体をボイコットした。このシステムは、新薬であってもコスト対比効果が優れた経済性の高い医薬品だけに健康保険で補助する制度で、米国をはじめOECDのほとんどが、保険財政健全化と国民保険の公共性確保の一環として導入している。だが、米国はこれが外国系新薬メーカーに不利になると猛反発したのである。

ところが、その後、米国側は再度その制度を受け入れると発表し、今月21日から2日間、シンガポールで医薬品分科会議を再開した。今回の会議で、米国側は韓国政府がポジティブ・システムのために外国系製薬メーカーが被害を受けないように「手続きの透明性」を保障することを要求するなど、16の要求事項を提示した。米国は他にも患者の新薬に関して知る権利や、革新的新薬の価値を認め、新薬の保険価格を決定する際に物価引上率を反映させる等々を要求した。なお、韓国側は、自国内の医薬品の製造基準や医療陣の免許を米国でも認め、特に国内基準を通過した医薬品や生物学製剤の場合、世界的に優秀性を受けていることから米国でも販売を許容することなど4つの要求事項を示した。しかし、今回の交渉で、両国がポジティブ・システムの施行案をめぐり、相互の利害衝突をうまく調整し合意に至ることはできなかった。韓国と米国は第3回FTA交渉の場で利害調整を図るだろうが、難航が見込まれる。

医薬品分野において、果たして韓国の製薬会社はアメリカ系超国籍企業から投資などを通じて必要な技術や経営ノウハウを移転し、競争力を強化しうるだろうか。さらに、韓国政府は今までのように健康保険の公共性を損なわず、保険財政の健全化も達成できるのだろうか。医薬品分野は、世界的な交渉の達人、医薬品分野の強者アメリカを相手に、韓国政府のFTA交渉能力を如実に伺える実験の場なのである。