中国ビジネスのこれから

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過去2回の寄稿で中国の経済や外資導入政策が大きな転機を迎えている事を書いた。最終回の今回は、こうした歴史的転換期に臨む日本企業の中国ビジネスが、今後どのような方向に展開していくのかを考えてみたい。

先ず、貿易については、量的には中国の旺盛な需要の伸びが牽引し、今後も増加傾向が続くものと思われる。足元では汚染食品問題等が水を差している面もあり、中国のコスト高で生産地が中国以外の諸国に移転する動きも継続しようが、アパレルや軽工業品、食品の相当部分を中国からの輸入に頼る情況は続くだろう。しかし、注目すべきは量の拡大ではなく質の転換だ。国際競争力を高めつつある中国製の自動車や高品位家電等の第三国(場合によっては日本)への輸出が急伸長する可能性が高い。この部分で日本企業が商流に入っていく事は容易ではないものの、一方で中国製の発電設備や製鉄プラント、セメントプラント等を日本の商社がかついでアジアなどの第三国で受注する動きが出始めている。プロジェクトやファイナンスの組成力等の面で日本の商社に一日の長があるためであり、この動きは一層活発になっていくだろう。日中間の貿易統計にカウントされない新しい取引の動きである。

次に、投資については、日本企業の対中投資が(1)製造業中心から、金融・サービス・流通等も含めた多層的な投資へ、(2)加工貿易型から中国市場をターゲットにした内需指向型へ、と変化する傾向が既に現れている。さらに注目すべきは、中国企業に対するM&Aや株式取得による資本参加、中国企業等に投資するファンドへの参画等、金融手法を駆使した投資が大きく伸びようとしている事だろう。

もう一つ重要なのは、中国企業による対日投資が急増する可能性が高い点だ。すでに工作機械やソーラー発電設備などの分野で中国企業による日本企業買収の成功例が出てきている。中国政府が、あり余る外貨準備を活用して積極的に投資による運用を図る姿勢を打ち出している事もあり、この流れは間違いなく加速する。日中間の投資は、従来の単一方向(日本→中国)から、急速に双方向の構造に変化していくだろう。

この様に、中国ビジネスは旧来のモデルから転じて、まったく新しい段階に入りつつある。総じて言えば、如何に優良な中国企業とパートナーシップを組めるかが、今後の中国ビジネスの鍵を握ると思われる。指をくわえて中国経済や中国企業の台頭を見るのではなく、その活力を自身の発展に取り込んでいくのである。中国企業が日本企業に期待する点はまだ多く、これこそが有利な条件で彼らと組むチャンスなのではなかろうか。

それにしても、この文章をつい10年前に書いていたら、SF小説のような絵物語であったはずだ。変化はますます速くなる。5年後、10年後の日中ビジネスは、一体どういう景色になっているのだろう。