モンゴルの産業技術パーク設立における政策課題

|モンゴル

産業の発展は、モンゴルの経済・社会の発展に重要な役割を果たし、失業・貧困の削減に影響を与える大きな要因となる。モンゴル政府は、産業発展のための産業技術パークの設立に大いに関心を寄せている。また、産業技術パークはモンゴルの経済発展に極めて大きな貢献をし、新技術への移行や導入に対する「支援者」を作るうえで大きな役割を果たすと思われる。

産業技術パークは、製造業を1ヵ所に整理統合することで、インフラ整備が統一されたシステムにつながる企業が、産業費用全般を抑える機会が得られるという利点をもつと思う。同時に、天然資源の合理的な利用と環境保護に好ましい条件を産み出すことができる。

例えば、中国、ルーマニア、朝鮮、インドネシア、ガーナ、シンガポール、トルコなど、多くの国々で、産業技術パークの設立が成功し、国際市場で競争できる製品輸出を支援して成果をあげた注目すべき事例がある。それらは、地元と遠隔地に安定した開発をもたらし、製造業においてまったく新しい技術と運営方法を紹介し、外国投資を誘致した。

しかし、人口300万人しかない国内市場の小さなシンガポールでは、生産・サービスはすべて輸出に向けられ、この考え方に基づいて外国投資を利用した産業技術パークを設立し高度な発展を遂げている。

環境上の制約を合わせて、産業企業の多くを大都市から地方へ移転させ、併せてその地域のインフラや社会問題を解決している国もある。トルコはこのようにして皮加工企業と完成製品の製造を発展させた。

他国の産業技術パーク設立の経験を通じて産業発展の基礎を作るため、2003年、モンゴル政府はモンゴル産業技術パーク設立の概念を承認し、それに対する適切な対策を具体化しているところである。産業技術パーク設立方針は、海外市場で競争力を持つ輸出商品製造の開発、地域の安定した発展、グローバリゼーションが続く世界市場においてモンゴルの積極的な参加が確実になるような高い技術開発を目的としている。産業技術パーク開発の方針が目指すところは、輸出主体の商品製造の開発と、都市開発の拡大を支援するパークの設立である。

パークの発展を支援し、新しい方法や技術を導入する輸出主体の製品開発を目的とする技術・運営開発のインキュベーターが作られ、その後はさらにその能力を伸ばしていくことにつながる。モンゴル政府は、都市部の拡大を狙ったパークは、プラスの効果をもたらし、地域の発展に重要な貢献をするとみている。

産業技術パークの設立における基本的方針は次のとおりである。

人口50万人以上の都市でのインフラ・建設への投資において高い収益性を持続させることを目的に、「地下鉄」パークを作ったり、人口5万人以上の地域では都市型パーク、住民2.5万人以上の場所では地元のパークを作ったりする必要性がある。

鉱工業企業を抱えるパークは、すでに道路や鉄道網がある場所に建設し、同時に最新のインフラを持たなければならない。

産業技術パークでは、商業的利用に向けた国家能力と調査活動組織の強化・改善のため、高等教育や科学研究機関との間に新しい協力体制を作る流通性の高さと技術の利用が保証される必要がある。科学的調査活動の技術的なインキュベーターへの移行によって、知的資源が最もうまく利用される条件が作り出されるだろう。

国際市場に供給するという目的で、パーク内で生産される輸出向け商品は、モンゴルに隣接する2国を意識している。さらに、適切な対策を打つには、高い経済的、財政的、技術的な能力ならびに人事管理、マーケティングサービスの確立が必要となる。

パークは「テナント」パークに沿って設計され、住む場所を確保するだけの財政的手段のない人々に仕事を与えるなど、職場と住宅の供給に絡む問題を併せて解決する。パークは、ビジネスインキュベーターとして機能するように設計され、それによって、異なる投資源が使われることになる。このような「テナント」パークが、貧困削減と中小企業の市場競争力の増加にプラスの効果をもたらす。

産業技術パークは

a. 輸出向けの製造のため、ダルハン、エルデネト、チョイル、チョイバルサンの各都市
b. ハイテク開発のため、ゾーンモド、ウランバートルの各都市内
c. 手作業製造とビジネスインキュベーター支援のため、ナライハの「テナント」パーク沿い

で開発される。

産業技術パーク設立に向けた国家支援

モンゴル政府は、産業技術パーク設立のために、以下のような支援を検討している。

各地で様々な活動や形態をもつ産業技術パークの設立
産業技術パークの境界の決定と、土地所有権の明確化
土地利用における支払い規模の確定と、土地の優先権付与
産業技術パーク設立のための基本計画の作成と、国家予算からの財政援助の調整。また、この計画の実行における長期低利貸付の提供と国際的援助の利用
国家予算と貧困削減計画基金からの「テナント」パークに沿った産業技術パーク設立のための財政的支援の提供
サービスの維持、パークに登録する企業で働く高い技術をもつ国内外の熟練者に対する関連情報の提供、そして職場における安全性など、好ましい条件の作成
モンゴルと他国の政府間における二国間、他国間協力の枠組みの中で、産業技術パークに外国投資を巻き込むための支援
関税体制確立において、政府間交渉における二国間、多国間協定の枠組みの中で、パーク内で経営する企業によって生産される商品輸出の際に起こり得る関税・非関税の障壁の軽減調整
パーク内で経営し、長期低利貸付の分配と国際的援助の利用を通してプロジェクトに参画する企業家・企業への支援提供
世界銀行、アジア開発銀行、および援助国と協力した、投資と開発資金確立に必要な対策の樹立

で開発される。

産業技術パークの開発における関税と法的状況

産業技術パーク設立に対する(2003年からの)モンゴル政府の考えに基づき、国内で働く企業家は特殊関税と法的体制を教授すべきである。

「テナント」パークなどパーク内で働く企業家を除き、企業が輸出向けの生産に関わる場合、関連法で規定されているように、輸出入関税、付加価値税及び所得税の支払いに関する譲歩条件の権利が与えられる。

さらに、

i) 建設中及び技術更新中の企業は、所得税を免除される。また、製造開始日から3年間、所得税の支払いは通常の半分とする
ii) 輸出向けの商品を生産する企業は、製造開始日から3年間は固定資産税を免除される
iii) パーク内に新しく産業企業を作るために海外から輸入する工業設備や工具には、輸入関税並びに付加価値税が免除される
iv) ビジネスを展開する企業が、技術的レベルの高い新技術の開発に通じており、それが産業技術パークの構成の一部である場合には、固定資産税と所得税が免除される

近年、モンゴルでは様々なタイプの産業企業を設立している外国資本企業が数多く見られる。しかし、その多くは肝心のインフラ建設に貢献せず、手っ取り早く多額の利益を稼ぐことを目当てに、モンゴルの資源を搾取し、地域の環境と人々の健康への悪影響などはお構いなしである。

この点で、広い国土に人口の少ないモンゴルでの産業技術パークの設立問題は、政府の主要課題と言えるであろう。個人的には、政府の政策は正しい方向に向かっていると思っている。この政策をさらに推し進め、実現の各段階をうまく運び、必要な措置を取って、国の政局に依存しなくて済むようにすることが重要である。

この政策の進み具合を正しく評価し、実現の各段階で正しい決定を下すことが、政局の如何に関係なく唯一必要なことである。

[ERINA翻訳]