開城工業団地の活性化と南北CEPA 締結への道は開けるのか

|朝鮮半島

いまや韓半島の西側にある開城工業団地(以下開城工団)は、東側の金剛山と共に韓国民間人が比較的自由に往来できる唯一の北への玄関口となった。北の核保有宣言というマイナス要因は決して無視できないが、近くのソウルを含む首都圏から労働力以外の多様な経営資源や、京義・京釜鉄道と高速道路、最先端設備の空港と港湾施設をフルに活かし、高麗以来の開成商人の商売気質さえ取り戻すことができれば、投資環境は明るい。

開城工団の開発は2000年8月、私企業である現代と北側との開発合意書によって始まり、2003年からの韓国側による100万坪(50年土地賃貸、5年間で2,000億ウォン投入)の団地開発、2004年、北の開城工業地区法制定とモデル団地建設により企業立地が始まった。同年12月には開城工団で最初の製品を見るに至ったのである。今年8月現在で65万坪を分譲、北側従業員1万8,000名、進出企業39社、2004年12月~2007年7月の累積生産高1億8,000万ドル(うち輸出4,200万ドル)を記録し、これまで対韓投資を敬遠し、対中・ベトナム進出を目指してきた日本の中小企業も開城を決して僻地ではない近い将来の投資候補地として考え、足を運ぶようになった。北側従業員の最低賃金は1ヶ月52.5ドル(手取りは36.75ドル)で決して低くはないが、内外需を問わず殆どの業種の中小企業は国際資源・資材の値上がり、賃金上昇、ウォン高、新規立地規制など、経営環境の悪化を乗り切るため開城工団への移転立地やそれらの企業との提携を真面目に考えるようになった。

確かに、6者会談が北朝鮮核不能化を実質的に保障するよう機能し、南北首脳の定期会談が行われるようになれば、南北平和宣言や協定、北米、北日関係の正常化を待たずに、開城工団では中国における香港のように、1国2制度が早期に実行され、質の高い北の勤労者が自由主義経済の働き甲斐を感ずる学習の場となり、南北協力の橋渡しとなることが期待される。しかし、このような肯定的な側面ばかりを強調するわけにはいかない様々な問題がある。

第1に、4通(通勤・通行・通関・通信)問題である。南からのバス出勤、往来の手続きの簡素化はもちろん、必要物資の陸路での輸送制限、戦略物資の検査時間の遅れ、通信網拡大とインターネット網利用上の制約を早期に取り除くことが必要である。第2に、対北事業の安定化を図るための枠組である投資保障、二重課税防止、商事紛争の解決、清算決済等、既存の4大合意事項の早期実行である。未だに具体的な運営のやり方が決まらず、進出企業に対する法的保護がなされてないのが現状である。第3に、進出企業の損失補填枠の拡大と手数料の引き下げ等、政府当局の強い意志を示すこと、第4に、従業員の採用・解雇・配置転換等、自主的な人事労務管理によって生産効率を上げること。以前に比べれば多少改善されてはいるが、まだ不十分である。第5に、開城工団に域外加工地域方式を適用し、原産地を韓国産として認めるよう多角的な通商交渉に力を注ぐべきである。これは既存工団の活性化と第2次工団開発だけではなく、金剛山、新義州、羅津・先峰などの経済特区への外国資本や技術導入と南北統一コスト節約のための基礎条件となるであろう。

更に、各種対北協力事業を一体化し、それを制度的に支えるためには、CEPA(Closer Economic Partnership Arrangement)締結を積極的に検討すべきである。もちろん、これはWTO加盟国同士の国家間協定ではなく、統一に向けた分断地域間の暫定的な取り決めである。まず南北商品取引の関税引き下げ・撤廃から始め、交易・通関手続きの円滑化、サービス・投資の段階的自由化、貿易投資振興・IT・中小企業・繊維・科学技術・観光・エネルギー等、北に対する綜合的な経済協力の枠組みを提示すべきである。その意味で、10月初めの第2回南北首脳会談以後、北側のウラン濃縮を含むすべての核プログラムの公開と不能化の年内履行約束を点検すると同時に、周辺国も交えた南北経済共同体構築に向けた具体的な役割論議が待たれる。