中国の原油備蓄 ~備蓄増加は原油高の一因にも~

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世界経済の先頭を走る中国は、成長持続のための資源確保のほか、原油備蓄にも乗り出している。ここでは、中国の原油備蓄を巡る動静を整理したい。

2007年の中国の原油輸入は、史上最高水準となる328万バレル/日を記録、前年の292万バレル/日を約12.4%も上回る水準だった。この輸入量増大は、中国経済の高成長による消費量増のほか、中国政府が急ぐ備蓄のための原油購入が影響した。既に2006年に中国は、米国に次ぐ世界第2位の石油消費国であり、2000年以降、その消費量の増加率は、年率平均6~7%台にて急伸している。しかし、中国の原油自給率は約5割で、消費量約700万バレル/日のうち、約半分は海外に依存する構図だ。

こうした状況を受け、中国はエネルギー安全保障上の危機意識を高め、「エネルギー中長期発展計画」を2004年にまとめ、エネルギー安定供給の強化に回っている。その主な内容は、(1)調達先の多様化による中東依存度の抑制、(2)輸入手段の多様化、タンカー以外のパイプラインやLNGでの輸入促進、(3)中国企業による海外の原油権益取得の強化、(4)代替エネルギー開発(バイオディーゼルや石炭液化)推進、などである。このほか、特に、原油備蓄については、備蓄基地の早期の建設やエネルギー安全警告システム整備を予定し、エネルギー安全保障の観点を最重要視している。その進捗状況は、2007年前半に第1期の原油備蓄基地4ヶ所のうち3ヶ所が完成し、遅れた1ヶ所も2008年内の完成を見込む。第1期の備蓄量は約1億バレルで原油の注入が始まっている。

また、中国政府は第2期2.4億バレルの備蓄基地の建設を計画し、2010年までの完成を目標としている。第1期分や2010年までの第2期の膨大な備蓄原油量合計3.4億バレルの買い付けが原油市場で注目されている。中国の在庫原油の大規模な購入が、市場における買い材料としてモニターされている。中国の備蓄は、2007年前半でも約2週間相当であったが、第1期の備蓄終了時点で試算すると、35日分程度備蓄である。先進国が加盟する国際エネルギー機関(IEA)は、加盟国に純輸入量の90日分以上の備蓄を求めている。中国の場合、上述第2期備蓄基地が完成し、その備蓄が終了する2010年にて同輸入量の60日分程度となる。加えて、民間企業の備蓄の法制化を進展させれば、なんとか90日分程度に達するようだ。

先進国の仲間入りしたい中国は07年末に、IEAが運営する石油備蓄メカニズムに加入、緊急時対応訓練への初参加を表明している。エネルギー安全保障上のほか、国際的にも、中国は備蓄に力を入れざるを得ない。このため、2010年まで、中国の原油消費量とともに、原油備蓄の動きが、原油市場で一層注目を集めることが予想される。