地域間交流の役割

|ロシア

「ダイナミックに発展している!」と、北海道・洞爺湖でメドベージェフ大統領が強調したように、最近の日ロの経済関係は、貿易額で2兆5千億円、前年比1.6倍という目覚ましい伸びを見せています。一方、ここサハリン州の経済情勢も、例えば月平均賃金では、2007年で23,190ルーブル(年間平均値:サハリン州国家統計委員会資料をもとに算定)にのぼるなど、大陸棚プロジェクトの恩恵もあり、全国でも上位の方に位置していると言えるでしょう。こうしたロシア・サハリンの好況感が、道内の経済界にも伝わってきており、前回取り上げた「食」のほかにも、様々な業種から関心が集まるようになりました。特に、北海道が得意とする次のような分野が、これからの経済交流のキーワードとして期待されます。

まず挙げたいのは、「観光」です。中でもポイントとなるのが、「週末旅行」と「冬季観光」でしょう。「週末旅行」のターゲットは、所得の「中間層」。土日を挟んだ日程で、フェリーを使い、日本料理や買い物、温泉を楽しむといった、「安近短」のツアーを求める声がよく聞かれます。また、サハリンでは、アルペンスキーの愛好者が増えています。ユジノサハリンスク市のスキー場では、今冬、新しいゴンドラが完成し、ナイター営業も行われていました。こうしたスキーヤーが、ニセコや札幌にまで足を伸ばしています。さっぽろ雪まつりも依然高い人気があり、これまで空席ばかり目立っていた冬季の飛行機も、正月や連休などにはロシア人で賑わうようになってきました。

また、「建設」も依然主要な切り口です。プロジェクト関係の工事が端境期に入ったとはいえ、道路や公共施設、住宅の工事があちこちで行われ、建設に確かな活気が見られます。住宅については、ソ連時代からの常識であった「アパート」だけではなく、木造の戸建て住宅や低層住宅の建設も増えており、道内にある寒冷地向けの技術を活かす余地は多分にあると思われます。

そして、最近のトレンドは、G8サミットでも主要テーマとなった「環境」でしょう。北海道では、本年2月、ロシア極東3地域との間で、第4期目となる「経済協力発展プログラム」を結びましたが、今回初めて「環境の保全に関する交流」がこのプログラムに盛り込まれました。とりわけ、サハリンでは、生活ゴミや産業廃棄物の処理、大気や水環境の汚染、上下水道など生活環境の問題が、市民の高い関心を集めており、そこにビジネスチャンスも眠っているはずです。

今年、北海道とサハリン州は、「友好・経済協力に関する提携」に署名してから10周年。この間、日ロ交流におけるフロントランナーの一角として、関係を深めてきました。折しも、北海道での首脳会談を機に、日ロは新時代へ踏み出そうとしています。経済交流にしろ、文化交流にしろ、私たち地域が行う取組の一つ一つが、やがては両国間に残る懸案の解決につながるものでなければならないと私は考えます。そして、よりダイナミックな関係発展のために、得意な分野を活かしながら、たとえできることは小さくとも、たゆみなく行動を積み重ねていくことが、地域間交流の役割であると思うのです。