APEC2012は新極東ザバイカル発展プログラムのリトマス試験紙?
2007年10月16日|ロシア
ERINA 客員研究員
横地 明宏
10月16日に沿海地方政府広報室は、サンクトペテルブルグの都市総合計画研究所が設計したAPEC2012サミットの都市マスタープランをダリキン知事が承認したと発表した。ルースキー島の主要設備をプロットし、グランドデザインしたものである。しかし架橋の位置や設計はまだ決まっていないし、中央政府からの承認も下りていない。ルースキー島は全くの無施設から建設するもので、今後は時間との戦いであるとすでに関係者から心配する声があがっている。
ルースキー島APECサミット全景(上)とサミット会場(下)
APEC2012は2012年に開催されるイベントであり、その中でも象徴的な存在である。社会基盤整備という面で深くこれら新プログラムやサブプログラムと係わっている。APEC開催は諸外国との約束事であり、自分たちの都合でスケジュールを遅らせるわけにはいかない。一方、計画経済的発想による新プログラムやサブプログラムの実施は目標的色彩が強い。民間企業による投資が無ければ社会インフラも絵に描いた餅と成る。その意味で、APEC2012の成功は新プログラムの進捗状況を示す重要なバロメータになろう。一方、「2013年までの新極東ザバイカル発展プログラム」および「サブプログラム(アジア太平洋地域の国際協力センターとしてのウラジオストク市発展計画)」が2007年7月の政府閣僚会議で承認され、総額5,670億ルーブルの予算がついた。予算編成での特徴的なところは3/4が中央政府の予算である「連邦予算」である。すなわち、予算外財源や地方予算が少なく、これまでの住民配慮型戦略計画から国家主導型計画に大きく舵を切った点が注目される。これまでの計画リストに挙がったものの資金不足で頓挫した多くのプロジェクトと異なり、今次は目標達成型プロジェクトが多くなるであろう。多くのプロジェクトが鉱物資源開発、精錬事業、パルプ製紙、複合化学コンビナート建設などを中核とした新規開発型プロジェクトである。この中にAPEC2012も入る。これらの地域開発を現実のものにするために社会基盤整備が必要であり、このプログラムは、そのために新規・改造発電所建設(石炭、水力、原子力、天然ガス)をして電力の供給を促し、配電網の近代化を計り、新旧道路建設・新旧鉄道建設を行い、港湾を整備して、合理的、近代的な流通インフラを整えることを基本に据えている。