韓国の新政権の船出と韓日関係

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韓国では去る2月、新しい政権が誕生した。5年ごとに国民の直接選挙により大統領が選ばれる韓国の政権交代は、当選された大統領の政治哲学、政策目標を反映して多くの分野で政策の変化をもたらす。李明博新大統領は、対外関係において就任前から盧武鉉(政権時代に疎遠となった関係が続いた米国、日本との関係を重視するとの意思を表明した。特に日本に対しては、過去の歴史問題にこだわらず未来志向的な韓日関係を築くことに重点を置くとの政策方向を示した。李大統領の4月の訪日時に行われた韓日首脳会談では、韓半島・東北アジアの平和と繁栄のための政策協調、経済協力及び未来志向的な協力の強化、汎世界的な問題に共同で対応するなど、前向きで意欲的な韓日協力方案が発表された。多くの両国国民は、韓国の新政権の発足により、その間足踏み状態にあった韓日関係がかなり進展することを期待しただろう。

しかし、その後、日本政府が独島の領有権を主張する内容を新しい中学校学習指導要領解説書に載せることを決め、これが韓国の世論の強い反発を呼び、韓国政府も日本政府に強く抗議することになった。韓日政府間のすべての主要案件、対話は中断され、9月下旬に予定されている日本での韓中日首脳会談に韓国大統領の不参加という見通しも出ている。

韓国は、過去日本に植民地支配をされた経験があるため、日本と関連した歴史、領土問題には国民の関心が高く、敏感に反応する。特に新政権樹立直後の米国産牛肉輸入をめぐって世論の強い反発を受けた現政府としては、今度の独島問題においても国民の世論を強く意識せざるを得ず、対日政策において政策選択の幅はそれほど広くないように見える。

韓日間では、近年、民間交流、特に青少年交流が活発である。私の勤める大学の学生の中には、中学、高校生の時に姉妹校相互交流のため、あるいは観光などで日本を訪れた経験を持っているものが多い。そして、日本からも観光や留学のため韓国にくる日本人が急増している。このような民間交流の拡大が両国間の相互理解を深め、信頼を高めるのに大きな役割をしていることは言うまでもない。

しかし、今の韓日の政治家、高位官僚レベルでの関係梗塞は、韓日の協力が必要な懸案問題や未来志向的な問題への協力を遅らせ、少なくない損失をもたらすことになるだろう。

なぜ、韓国で日本に好意的な政権が誕生したにもかかわらず、ほぼ同じ理由で韓日関係がこじれ、韓日関係全般に否定的な影響を与えることが繰り返されるのか。

今度の独島の領有権をめぐる韓国の民間及び政府レベルの対応については、内外からの批判も多い。今のような感情的な対応は、国際社会における韓国のイメージに損を与えやすく、もっと理性的な対応が必要だ。また、韓国が先進国になるためには日本の協力が必要な問題が沢山あるので、歴史問題や領土問題とは分離した形で日本との協力を築かなければならないという意見もある。韓国としてはこのような意見にもっと耳を傾けるべきだ。

それと共に、日本政府も歴史、領土問題で韓国国民を刺激しないようもっと気を使う配慮が必要ではないか。韓国政府が日本との関係をよくしたくても、世論の支持を得なければ前に進めないことを最近の事態は物語っている。