輸出減少でも韓国経済は安定

|朝鮮半島

韓国の今年1~3月期の輸出は、世界経済の同時不況の影響をうけ前年同期に比べ24.9%の減少を示した。GDPの40%弱を輸出に依存する韓国にとって、このような輸出の急減は、これまでなら企業の生産縮小やそれに伴う雇用や消費の減少をもたらし、実物経済に大きな衝撃を与えたと思われる。

しかし、最近の韓国経済はそれほど大きくは落ち込んでいないように思われる。韓国銀行が今年4月はじめに発表した2009年経済展望によれば、今年1~3月期の経済成長率は1年前の同じ時期に比べ4.2%減少する見通しであった。しかし、同期間の失業者数は16万人の増加、就業者は13万人の減少に止まった。失業者は増加したものの、外貨危機が発生した直後の1998年と比較するとかなりいい成績である。1998年1~3月期の経済成長率は5.8%減少と今年より1.6%ポイントも低かったが、失業者数は63万人増え、就業者数は157万人も減った。

主要企業の営業実績もそれほど悪くはないように思われる。4月中旬に韓国の毎日経済新聞が発表した調査によると、2008年国内1,000大企業の総売上高(売上高と純利益基準)は2007年より8.9%増加の1,603兆ウォンを記録した。この伸び率は2007年の11.3%、2006年の9.3%など過去の伸びと比較しても悪くない数字である。

韓国の輸出が大幅に減ったにもかかわらず国内経済が比較的安定している理由は、どこにあるのだろうか。まず、為替レートに注目すると昨年950~1,200ウォン台に推移したウォン/ドルレートが2009年には1,400~1,500ウォン台と大幅に下がった。そのためウォンに換算した輸出額はむしろ増加した。例えば、今年3月の輸出額は281億ドルで、前年比22%減ったが、ウォン基準では19%も増加した。

次に、全般的には輸出が不振な中で相対的に善戦する品目が多く目に付くことにも注目したい。例えば、船舶類の輸出は今年1~3月期に43.6%も増加した。無線通信機器、鉄鋼製品、液晶デバイスなどの輸出はマイナス10%台と比較的小幅な減少に止まった。その背景には、これら韓国産業の競争力の向上とともに、近年新しい成長分野として注目されるグリーンエナジーと関連した風力発電設備、電気自動車およびハイブリッド自動車用電池の輸出増加、世界的な景気沈滞による海外の小型車需要の拡大による自動車輸出の増加、インド・中国などにおける発電所の新増設に伴う鉄鋼製品の輸出増加などがあげられる。また、雇用事情がそれほど悪くならない理由については、労働者と経営者間の危機意識の共有を基に、企業の解雇など雇用調整が最小限に止まっていることと、韓国政府のjob-sharing(仕事を分け合い雇用を増やす)政策に呼応して企業も新規採用に積極的に乗り出している点などがあげられる。

このような韓国経済の比較的安定した状況を背景に、韓国の経済界では今後の景気を楽観的に見る傾向が強まっている。例えば、最近発表された国内主要銀行長らによる景気予測では、今年の4四半期に景気が底を打つとの意見が多かった。また、全国経済人連合会が国内20大グループの役員を対象にした調査によると、回答者の75%が、現在景気は沈滞的局面にあるものの、その速度は緩んでいると判断していた。また、回答者の60%は、韓国経済の回復時期を来年上半期と展望した。

一方、世界経済不況の長期化や景気回復の不確実性、世界各国で広がる保護主義などは、輸出依存度が高い韓国経済の将来にとって暗い材料である。そのため、韓国経済の高い輸出依存的な体質を改め、内需を増やす努力を急がなければならない。しかし、どのようにして内需を増やすべきか、これから検討すべき課題は少なくない。ただ、グローバル化が進む世界で、これからの内需は国内だけでなく海外の需要も多い分野に重点を置く必要がある。最近、韓流による日本人や中国人観光客の急増、医療サービスを受けるための外国人の入国増加などを見ると、観光や医療も発展が有望な分野であろう。これらサービス産業の発展をはかりながら、韓国経済を内需・輸出の均衡のとれた成長モデルに変えていくことが当面の課題である。