進む中国と中南米の経済関係の強化 -II-

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08年11月アジア太平洋経済協力会議(APEC)首脳会談が南米ペルーで開催され、中国の胡錦涛国家主席が出席した。その際コスタリカやキューバを相次いで訪問するなど、引き続き中南米外交を積極的に展開した。同地域は中国にとり食料やエネルギー資源の一大供給地として、また、潜在的な輸出市場として、現在その重要性を飛躍的に高めている。さらに投資市場としても石油や天然資源関連産業を中心に今後の展開が期待されている。

訪問先ではペルーとFTA締結に至ったほか、コスタリカではアリアス大統領と会談し、石油関連の合弁企業設立や金融・教育分野への出資、FTAの交渉開始などが話し合われた。また、キューバでもラウル・カストロ国家評議会議長と会談し、経済協定の締結や今後の協力強化が謳われた。周知の通り、同国では08年2月にフィデル・カストロ前議長を引き継いでラウル新政権が発足し、現在、社会主義体制を維持しつつ、これまでの過剰な禁止条項や保護規制、補助金などを徐々に削減・弾力化する方向性を打ち出している。中国は構造改革が進むキューバと新たな関係構築を図ることで、豊富に埋蔵するニッケルの確保を果たす算段である。

他方、昨年来の世界経済危機の衝撃により米国消費需要の逼迫・停滞が続く中、中南米にとっても中国は米国の代替的な輸出市場として、その戦略的重要性は増すばかりである。08年の1年間だけでもベネズエラ(チャベス大統領)、ブラジル(ルーラ大統領)、メキシコ(カルデロン大統領)、チリ(バチェレ大統領)、ペルー(ガルシア大統領)など、主要国首脳が相次いで中国を歴訪していることは、その証左といえよう。

両地域の貿易取引額は2000年代以降、顕著に拡大し、直近の2年間でも504億ドル(05年)から1,026億ドル(07年)へと倍増となった。但し、取引額それ自体は急増しているものの中国における地域別構成比は依然4~5%程度である(数値は、http://www.jetro.go.jp/)。

中国社会科学院ラテンアメリカ研究所の研究レポートを参考にして、両地域の貿易・投資の主な特徴をまとめると、第1に、中国の対中南米輸出の品目は多岐に渡っているが(例えば、主要品は機械や機械設備など工業品で構成され電機機器や繊維品、化学品および同関連品で全体の60%超を占有)、高付加価値製品の比率は依然少ない。第2に、投資先がエネルギー・天然資源部門に偏り、製造業部門への直接投資は僅少である。第3に、中南米の対中貿易額は他地域と比べ相対的に低く、輸出品目も一次産品に限定されている(例えば、鉱物、野菜、基礎金属および同製品の3品目で全体の74%を占有)、などがあげられる2

ちなみに、中南米の対中貿易額(07年)を順で示すと、1位メキシコ(316億ドル)、2位ブラジル(233億ドル)、3位チリ(213億ドル)で、上位3ヵ国で全体の75%近くを占めるなど、その比重は圧倒的である(数値は、http://www.jetro.go.jp/)。

かかる状況の中、中国は09年1月に念願の米州開発銀行(Inter-American Development Bank)への正式加盟を果たすなど、さらなる対中南米接近を続けている。同国から同機関への拠出金3.5億ドルは、世界経済危機の只中にあって(継続的で長期の開発融資借入を熱望する)中南米政府に歓迎されることであろう。

とはいえ、両地域の今後の課題も多々ある。まずは現行のエネルギー・天然資源開発だけにとどまらない、インフラや農業投資、貧困・医療・教育対策、新技術分野の開発などへの協同的な取組みを通じた、「持続可能な」協力関係の構築が一層望まれよう。


  1. URLへのアクセスは、http://wwwsoc.nii.ac.jp/aaij/
  2. Wu Guoping, Sino-Latin America Cooperation: A Benign Interactive with Growth, 2008.(09年1月アクセス)[http://ilas.cass.cn/manager/jeditor/UploadFile/20091692043252.pdf]