進む中国と中南米の経済関係の強化 -III-

|中国

2009年4月、南米の石油大国ベネエズエラのチャベス大統領が訪中し、胡錦濤国家主席と会談を行った。主なテーマは原油。すでに合意済みであった両国による原油開発(ベネズエラ)と精製工場建設(中国)および石油輸送協力の諸計画に加え、2013年を目途に日量100万バレルの対中石油供給が目標に掲げられた。また、エネルギー分野に限らず、農業、金融分野などについても話し合われ、この協力関係の原資には両国が2007年に設立した戦略共同基金が活用されることになった。

ベネズエラ報道機関の統計によれば、両国の貿易関係は昨年(2008年)も急成長を遂げた。輸出入総額で96.6億ドル弱の水準に達し(ベネズエラ側の約35億ドル黒字収支)、前年比(2007年58.4億ドル)で65%強を記録するに至った。10年前(1998年)の同額は約2億ドル、5年前(2003年)は約7.4億ドルであり、直近の10年で驚異的な増加を果たした1。ベネズエラ側の国別輸入先(2007年)では、第1位米国(25.9%)、第2位コロンビア(13.5%)に次ぐ、中国は第3位(9.6%)の輸入相手国になっている2

同会談では胡国家主席もチャベス大統領を「付き合いの古い、重要な友人」と述べ、今後の両国関係発展の重要性を謳った。また、大統領も世界的な経済危機の只中にあって「中国は世界を運営する重要なエンジン」で、かつ「いまや北京こそ、多極的世界の最大の拠点都市の1つである」と称賛で応えた3

また、同月末、中国は、チリに続き南米では2ヵ国目となるFTAをペルーと締結した。同国の保有する銅など鉱物資源の確保が目的で、ペルー側も中国からの投資拡大が期待されている。ペルーのガルシア大統領は、その投資額は2008年73億ドル(2007年比で37%増)から2015年には150億ドルまで増大するだろうと言及した4

こうした中、南米の雄ブラジルでも対中貿易が堅調な伸びを見せている。ブラジル開発商工省のデータによれば、08年対中輸出は164.0億ドル(前年比52.6%増)に達し、国別構成比では6.69%(2007年)→8.29%(2008年)へ比重を増加させた。対中輸入でも200.4億ドル(同58.8%増)、同構成比は10.46%→11.57%と、その存在感を一層強めている。輸出入ともに全体の前年比(各23.2%、43.6%)を大幅に上回り、とりわけ昨年は対中輸出の伸長が顕著であった。主な品目は、第1位は大豆(53.2億ドル、構成比32.5%)、第2位は鉄鉱石(41.1億ドル、25.1%)、第3位は原油(17.0億ドル、10.4%)である。上位3品目だけで全体の7割近くに達していることからも、中国にとってブラジルは鉱物資源・食糧供給先として位置づけられていることが看取できる。他方、中国からの輸入品目は、第1位は携帯電話用部品(8.57億ドル、4.3%)、第2位は液晶パネル(8.18億ドル、4.1%)、第3位はコークス(5.99億ドル、3.0%)、第4位はテレビ・ラジオ用部品(4.23億ドル、2.1%)、第5位は携帯電話用最終部品(2.90億ドル、1.5%)で、全体比は5品目を合わせても15%にとどまるなど、その品目構成は多様であるといえる5

なお、昨年の中国の対ブラジル貿易拡大の背景には、米国での金融・経済危機に伴う景気後退が影響している。これまで米国を最大輸出市場としてきた中国は、2008年11月に危機に対応するため内需拡大型の経済成長を目指す10項目の措置を発表した。その概要は、住宅建設、農村インフラ建設、鉄道・道路・空港インフラ建設、環境衛生建設の加速・強化、および医療衛生事業の発展や増値税改革などとなっている6。但し、外需主導型の経済構造は依然として強固であり、そのための市場圏拡大の一策として、これら中南米諸国との関係強化は今後も続くものと思われる。


  1. http://www.telesurtv.net/(2009年4月7日付け記事)
  2. http://www.jetro.go.jp/(2009年4月アクセス)
  3. http://www.telesurtv.net/(2009年4月9日付け記事)
  4. http://www.telesurtv.net/(2009年4月28日付け記事)
  5. 数値は全て、http://www.desenvolvimento.gov.br/sitio/(2009年5月アクセス)
  6. 内閣府『世界経済の潮流 2008年 Ⅱ』、2008年、175~176ページ。