中国の高成長とこれからの日中関係

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中国は今、世界の経済史上例を見ない高成長を続けている。1978年に中国は経済政策を大きく転換し、いわゆる「改革開放政策」を採用したが、それ以降、30年間の年平均GDP成長率は9%以上、年平均工業成長率は11%以上である。米国の金融危機に端を発した世界経済不況の影響を中国も受けているが、それでも、2009年の予想は7.5%(IMF)であり、日本、EU、米国、など先進国、多くの途上国でマイナス成長が予想される中、際立って高い成長率を継続している。

中国の高成長はさまざまな側面から論じうるが、主要因として、(1)社会主義経済体制の解体と市場経済化、(2)都市化、(3)外資利用、とくにFDIとそれを通じた外国先進技術の利用、(4)世界経済のほぼ順調な拡大、(5)おおむね適切なマクロ経済コントロール、(6)土地国有制、(7)改革の漸進性、(8)社会の分権性、(9)市場経済の歴史的伝統、の9つをあげたい。これらの要因の多くは引き続き有効であり、世界平均を上回る成長はしばらく続く可能性がある。

中国経済の高成長の結果、世界経済、世界貿易は拡大し、日本の輸出も増大した。また、中国の貧困は削減され、世界銀行の貧困基準である1日の生活費が1米ドル以下の人口は、1981年から2003年の20年余の間に総人口の約半分から7%弱へと大きく減っている(胡鞍鋼『経済大国中国の課題 : 国情報告』)。ただし、格差(絶対額)は増大している。例えば、最近、暴動が発生した新疆ウイグル自治区でもGDPは、1988年の189億元から2006年の3,045億元へ、18年間で16倍になり、1人当たりGDPも1,299元から15,000元に11.5倍になっている。しかし、最先進地域である上海との格差は、倍率そのものは1989年の4.0倍(新疆を1とした上海の数値)から2006年の3.8倍に若干縮小しているものの、絶対額の差は、4,000元から42,700元と10倍以上に拡大している(『中国統計年鑑』)。また、経済成長に伴って中国の資源消費が拡大している。中国が高成長を持続するためには、資源エネルギー制約を克服するとともに、経済格差の拡大を防ぎ、社会安定を持続することが必要である。

以上のような、中国経済の高成長の結果、日中関係は新たな発展局面を迎えている。

第1に、日中関係はより水平的、相互交流的関係に移行しつつある。日本の国際化はこれまで「出て行く国際化」であったが、これからは同時に「受け入れる国際化」を通じて発展する段階になっている。地理的に近接する日中両国が相互交流の拡大を通じてそれぞれの経済社会の発展を実現できる可能性は大きい。

第2に、日中両国関係は水平化の傾向にあるとはいうものの、引き続き、日本の先進的技術や制度は、中国の経済社会の発展に寄与できる。中国の経済規模はまもなく日本を上回るが、中国の人口は日本の10倍以上であり、1人当たりのGDPはまだ、日本の10分の1である。環境改善、省エネ技術、国民医療など社会保障、法律・行政システムなど社会インフラ建設など、日本が中国の発展に貢献できる可能性は大きいし、日本のビジネス界、NPO・NGO(大学を含む)の活動基盤は拡大していく。隣国の環境改善や社会の安定は日本の経済社会の発展、生活の質向上をもたらすことはいうまでもない。

第3に、日中両国は、単に両国関係にとどまらず、東アジア地域が直面する諸課題解決のために協力し、ヨーロッパや北米、南米等、他地域と比べて遅れている東アジアにおける経済共同体構築に貢献することが可能である。偏狭なナショナリズム、優越感やその裏側の恐怖感などにとらわれ、いたずらに主導権争いを演じるのではなく、日中ならびに日中韓が協力し、東アジア地域の持続的経済成長と平和構築という長期目標に向かって前進することの意義は大きい。