中国シフトを急ぐ香港のカジュアルファッション・ブランド

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カジュアル衣料販売のGIORDANO(ジョルダーノ、香港上場)は、中間層をターゲットにした香港のユニクロ的存在だ。ただ売上の低迷のほか、投資家の関心が香港企業ではなく中国本土企業に向きがちということもあり、株価の上昇にやや勢いが無い。

そのGIORDANOは、設立から10年が経過した1991年に中国へ出店し、1992年には香港上場を果たした。香港の人口は新潟県の3倍ほどだ。この香港が、隣接する10億人を超す巨大国家への返還が決まり、製造コスト削減と、巨大な市場を求めて中国に進出するのは自然な選択だったのかもしれない。しかし創業者で会長の黎智英が所有する雑誌が1994年7月、天安門事件に関連して中国の李鵬首相を批判した後、北京の店舗が突然、閉鎖されるなど中国ビジネスが一時停滞した。黎智英は一週間後、会長を辞職し、GIORDANOは中国での展開を続けてきた。

2009年9月末現在では、中国に963店舗を持ち、全世界の店舗のうち半分近くになる。売上高の41%は中国で、香港・マカオの20%を大きく上回っている。中国の黒字が台湾、シンガポール、豪州などの赤字を補うまでになった。このため、中国統括拠点のスタッフ数(約200名)が、香港の本社スタッフ数(約150名)を上回る体制を計画することで、金融危機後の低迷を乗り切ろうとしている。デザイン、物流、店舗展開から中国シフトを急いでいる。店舗展開は沿岸部から内陸部へ広げ、フランチャイズ方式で中小都市への展開も視野に入れている。

ユニクロを運営するファーストリテーリングもかつてGIORDANOのビジネス・モデルを研究したとされ、2006年にはGIORDANOを買収する意向を示した。買収をめぐり株価は動いた。ユニクロの狙いはブランドではなく、店舗網の獲得とされた。中国での製造、海外展開では、GIORDANOはユニクロの先輩だ。小さな市場で誕生したGIORDANOは、香港に比べれば大きな日本での市場で成長できたユニクロより、海外展開の重要性が高かったと言える。事実、GIORDANOは日本市場展開に2度、挑戦している。神戸を拠点にして関西圏で店舗展開を試みたが、不採算店舗の整理を断行している。

それでも同社広報ディレクターの虞〓麟さんは「日本は米国人が批判するような不公平な市場だろうか」と筆者に問いかけた。「米国の流通業は強力な政府が支援してくれる。日本の流通業もかつては保護されていた。香港企業は政府の支援などあてにできない」と解説してくれたようにも聞こえた。香港、台湾、シンガポール、韓国もすでに成熟市場にある。中国におけるファッション業界の競争も激しい。それでも同社にとって、中国へ経営資源を集中させるしか選択肢が無い。GIORDANOの成功と失敗は、日本企業にも示唆するところがある。

〓は おうへん+韋