ロシアにおける失業の動向 ~「ロスト・ジェネレーション」化しつつあるロシアの若者~

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世界的金融危機による景気後退を受けて、日本ではいわゆる「派遣切り」が多発し、2008年から2009年にかけての年末年始には「年越し派遣村」が開設され、多くの失業者であふれる事態となったことは、読者の記憶に新しいところであろう。世代的にみると、現在20歳代半ばから30歳代半ばにかけての世代は、就職適齢期を迎えた時に「就職氷河期」に直面したことを背景に、不安定雇用を強いられている比率が他の世代と比較して高いといわれている。この世代は「ロスト・ジェネレーション」(略して「ロスジェネ」)とも呼ばれており、このロスジェネの抱える問題がようやく認知されるようになってきた。

しかし、若年層の失業問題が深刻化しているのは、日本に限ったことではない。ロシアでも、景気後退に伴って若年層の失業率が高止まりしている。

ロシアにおける失業率の動向を国家統計庁発表のデータ(ILO方式)でみると、2009年11月時点で8.1%となっている。これは、2月時点の9.4%よりは下落しているものの、9月時点の7.6%、10月時点の7.7%よりは高くなっている。

11月時点での失業率関連データを年齢別にみると、24歳以下の平均は26.7%と、全体平均の約3.5倍となっている。内訳をみると、10代後半(15-19歳)で都市部26.3%・農村部30.5%、20代前半(20-24歳)で都市部16.2%・農村部18.7%となっている。

20代後半(25-29歳)になると、都市部7.3%・農村部11.8%となっており、10歳代後半~20歳代前半と比べて失業率はある程度低くなっている。30代(30-39歳)では、都市部6.3%・農村部9.1%となり、40代(40-49歳)では、都市部6.0%・農村部8.1%と、さらに低くなっている。

ここからいえることは、現時点で10歳代後半から20歳代前半の世代は、かなり高い失業率に悩まされており、「ロシア版ロスジェネ」となる可能性が高い、ということである。

しかし、失業率の動向で目立っているのは世代間格差だけではない。地域間の格差も目立つ。例えば、失業率の都市部平均が7.4%であるのに対し、農村部平均は10.4%と、3%ポイントも上回っている。特に、15-19歳の農村部での平均失業率は30.5%にのぼっており、農村居住の若者の多くが失業状態にあることがわかる。

また、連邦管区別のデータをみると(10-11月の平均値)、首都モスクワ市を擁する中央管区は5.0%であり、特にモスクワ市は1.8%と、かなり低い値を示している。同様に、サンクトペテルブルク市を擁する北西管区は6.6%であり、サンクトペテルブルク市は3.9%である。他にも、沿ヴォルガ管区8.2%、ウラル管区8.5%と、ヨーロッパ・ロシアについては、ある管区を除いて相対的に低い失業率となっている。

そのある管区とは、チェチェンなどのカフカス地方を抱える南部管区のことである。南部管区の失業率は11.3%であり、連邦管区別で唯一、2桁の失業率を記録している。また、シベリア管区は9.5%、極東管区は9.6%と、東部地域の失業率も高くなっている。

以上でみてきたように、ロシアにおける失業率においては、世代間の格差と地域間の格差が目立っている。そして、これらの格差は社会的な不安定要因となりうることから、今後、ロシア政府による対策が注視されるといえよう。