ロシア極東は難しいけど

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ロシア極東でのビジネスは難しい。事業がうまくいかなくて、損失が出ても「ロシア人はそれ以上に損失を被っているのだからしょうがない」という社会だ。外国投資家もロシア人と同じだけのリスクを分かち合う。成功すれば大きな利益が得られるが、失敗した時の損失も大きい。

ロシア極東はリスクの高い市場である。実際、外国企業がロシアの経済成長とその将来性に引かれてロシアに進出しても、相手側のロシア人の事業が軌道にのり、自分たちでできるようになると、わざとトラブルを起こして、日本人を追い出し、乗っ取るという事例は多い。日本側に金だけ出させたら、行方をくらましてしまうということもある。

ロシア人は商売への執着心がない。中国人や欧米人ほど儲けようという意欲がない。お互い苦労してwin-winの関係を築こうという考えが希薄である。たとえば、相手国に何かを売る際、国内に障害となるような問題があれば、普通、彼らがそれを解決する。ところがロシアでは、ロシア国内の手続きまでこちらが心配しなくてはならない。輸送から通関、輸送船の手配まで全部、相手国側がやることになる。ロシア企業の中には見積もりを出してくれるところもあるが、きわめて例外的であり、ロシアの企業に「見積もりを出してくれ」といってもほとんど返事が来ない。日本人がロシア国内の輸送から通関まで行わなくてはならない。一事が万事、そんな調子だから、ロシア極東でのビジネスは簡単ではない。

失敗するリスクを最小限にするには、信頼できるロシアのパートナーをみつけることだ。ロシアに一度行っただけでパートナーを見つけることはできない。何度もロシア極東に足を運んで、2、3年と時間をかけて最良と思えるパートナーを探すことが重要だ。日本の地方自治体、とくに日本海沿岸の各県は近年、極東との経済関係強化に熱心に取り組んでいる。そうしたツールを使うのも1つである。3~4年もかけてパートナー探しをしていたら、ビジネスチャンスを逃してしまうという意見もあろうが、ロシア極東で本気でビジネスをしようとするのなら、それくらいの覚悟と気持ちのゆとりがなければうまくいかない。

ロシア極東でのビジネスは難しいが、成功例はいくらでもある。マスコミや政府間協議では、トラブルにあった事例ばかりが取り上げられ、「ロシアはやっぱり危ない」ということを植え付ける格好の材料となっているが、そうした場で成功例が取り上げられることはない。トラブル・失敗例の裏には成功例があることを強調したい。競争相手を増やすことになる成功例を自慢する企業はどこにもない。ビジネスのヒントは成功例にこそ隠されているのだが、どうしてもトラブル・失敗例ばかりに目が行きがちだ。そうした考えを改めたい。

ロシア極東の人口は日本の16倍の土地にわずか650万人で、消費マーケットとしての魅力はない。人件費も物価もいつの間にか日本並みかそれ以上になってしまい、海外メーカーが生産拠点を構える場所でもなくなった。日本企業が人件費と土地の安さに引かれて進出する中国の人たちが、逆に賃金の高さに引かれて出稼ぎにやってくるところである。それでいて、インフラ等は老朽化が著しく開発途上の水準にある。ロシアの中でも立ち遅れてきた場所である。そのアンバランスとビジネスの難しさ。だからロシア極東から目が離せない。