ウランバートルの春

|モンゴル

モンゴルにも春が来る。

3月から4月に掛けてウランバートルでは、昼間、心地よい日が続くことがある。地元の親しい友人は、昔のウランバートルはこんなに埃っぽくなかったと嘆いている。もっと青々とみずみずしかった。発展途上の町なのである。

昨年の春は経済的に難しい時期であった。モンゴル経済も、リーマンショックの影響を受け、銅・金などの資源高に支えられ好景気を迎えた一昨年から、大きく後退を余儀なくされた。IMFを中心に拠出された4億ドル(日本は5,000万ドル)の資金が政府財政を支えた。

ウランバートルでは、昨年、建設工事がストップしたマンションの住宅戸数は3,500戸以上と言われている。本年は、この工事は進展するものと思われる。しかし、すべてのマンションやアパートが分譲可能になるほど、経済は力強くない。一方で、このような建築の戸数増は、著しい電力需要の増大をもたらす。既存電力の供給能力の限界が近づきつつある。

今年の冬は厳冬が続いた。ウランバートルでマイナス45度を越える日が何日かあったという。全国で家畜が200万頭も凍死したと伝えられている(全体では、4,000万頭)。

しかし、経済は、昨年の秋から徐々に回復しつつある。銅の価格が6,000ドル/トン台に乗せて来たことが大きな原因である。金利の低下、資金量の増大、インフレ率の低下等好材料が揃いつつある。反面、為替は1ドル1,400トグルグ程度で推移している。不満な水準である。過去数年の1,000~1,100トグルグには戻っていない。

このような背景の下、南ゴビの資源開発が具体化しつつある。

オユトルゴイの銅と金の開発事業は昨年10月のモンゴル政府とアイバンホーマインズ社で締結した投資協定が今年の4月に発効し、採掘設備、精鉱設備の工事着手の準備が整う

タバントルゴイの石炭鉱山への権益の確保は世界の関心の的になっているが、日本も本年3月に官民合同ミッションを組織し、モンゴル側と本格的な詰めに入っている。

南ゴビの資源開発によって、モンゴル経済が飛躍的に発展することは確実視されている。インフラ事業を含めて、この開発への日本の民間投資が事業を左右する鍵である。

鉄道事業のあり方や、事業方式(政府と民間の役割分担)など、政治的な課題も残っている。早急にモンゴルの体制整備が整うことが望まれている。

ウランバートルの人口増加は著しい。1990年代当初は約30万人であったものが、現在は130万人に膨れあがっている。50万人以上がゲルに生活している貧困層である。春になるとゲルの煙突から出てきているスモッグは減少するが、石炭火力からの排煙は止まらない。

南ゴビを国のエネルギー供給基地として、クリーンで美しい観光都市のウランバートルに生まれ変わるまでにはもう少し時間が必要である。