日本の立ち位置と北陸 ~報道への期待~

|北東アジア全般

中国の台頭によって東アジアの国際情勢は大きく変化しつつある。中国は今年、GDPで日本を上回ることがほぼ確実視されているし、何と言っても恐るべきは、その経済拡大のスピードである。改革開放政策がスタートした1979年から2008年までの30年間、平均年間GDP成長率9.8%という未踏の長期高成長を続け、全世界が同時不況に陥った昨2009年も8.7%の成長を達成、今年2010年も2ケタ成長が確実視されている。さすがにここへ来て、この様な高成長が永続するはずがないという声が各方面から聞こえてくるが、それでも厳しめに見る研究者の予想でさえ2015~16年ころまでは高成長が続くという見立てで、全く恐れ入るしかない。

この様な高成長が齎すものは、年々の新規需要であり、その規模も経済規模の拡大とともに大きさを増して、この巨大な新規需要こそが関係各国の関心を中国に釘付けにする。

日本はアメリカのようなスーパーパワーではないが、これまではGDP世界第2位・アジアのナンバー・ワンとして自他共に任じてきた。しかし、中国の急速な台頭とともに目の前に現れてきた現実は、アメリカというスーパーパワーとそれにチャレンジしそうな中国という大国の間に存在するミドルパワーとしての日本である。その意味においては、日本と韓国の間にも大した違いはないように思える。軍事力を持たないわが国が、大国同士が対峙する国際秩序形成に割って入って行けるとは考え難い。日本にできることは、経済外交をより主体的・能動的に展開して、協調的なアジアの国際環境を醸成し、その中に己の存在空間を見出して行くほかに術はない。

日本は人口減少の時代に入り、国内のパイが縮小傾向にあるのに加え、最近では鉄鋼・セメント・石油化学など素材産業を中心に産油国や新興・途上国の設備新設・拡張により輸出市場も今後は拡大が見込めず、2割、3割といった大幅な設備能力廃棄を迫られる状況にある。しかし、国内需要の限界が明らかになるにつれ、輸出可能な産業分野での海外需要の取込みは至上命題である。日本の取るべき選択肢から海外市場獲得を排除することは断じてできない。ここへ来て、日本政府も経済産業省を中心に官民一体化したアジアのインフラ整備事業取込みへの姿勢を鮮明にしてきたのは妥当なことである。例えば、プラント輸出の規模は、日本が年間百数十億ドル規模であるのに対し、韓国は既に400億~500億ドル規模と日本の4倍前後に達する。日本政府の対応はむしろ遅きに失したとさえ言える。

海外需要の取込みを目指さなくてはならないのは、多くの産業分野や地方・地域についても言えて、北陸においても外需の取込みは今後の地域経済にとって不可欠の対応である。そのために声を大にして言いたいことは、海外の情報にもっと敏感になって欲しいということであり、特に報道機関には、もっと外に目を向けて、海外情報のニュース・シャワーを地域の人々に浴びせ続けて貰いたいと願う次第である。国際情勢の変化への対応は、どう贔屓目に見ても、韓国などの方がより敏感で俊敏である。危機感をあおるつもりはないが、国際感覚をより鋭敏にすることは、今後、大国然と構えてはいられない日本と日本人には是非にも必要なことと思う。