韓米FTA、政争の対象ではない

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韓米自由貿易協定(FTA)の国会批准と関連して、米国よりも韓国のほうが厳しい状況である。米国は今年9月の通常国会で韓米FTA法案の批准処理に合意しているが、韓国の場合、まだ国会本会議の前段階である外交通商統一委員会にも上程できていない状況である。

韓米FTA交渉は2007年4月に妥結後、米議会などの反対で国会批准が棚上げとなっていたが、最大の争点だった自動車分野などの一部協定内容を修正し、2010年12月の再交渉で合意に至った。このように妥結してから4年間の紆余曲折を乗り越えてようやく締結された韓米FTAだが、今度は韓国の国会批准という最終段階でまだ行き詰まっている。

韓国の場合、FTA批准法案を取り扱う与野党協議体が構成され公聴会も開かれたが、お互いの意見の差が大きすぎて、国会外交通商統一委員会に上程もされていない。反対側は、2010年の再交渉の結果がお互いの利益になる結果ではなく、一方的に米国に有利な交渉結果になっているため、米国との再交渉に乗り出すべきだと主張している。野党第1党である民主党は牛肉関税撤廃の猶予、金融及び自動車セーフガード発動要件の強化などの金融、農業、サービス、製薬分野と関連した10項目についての修正と通商手続き法の制定、貿易調整支援制度の強化など2つの補完すべき条項を含むいわゆる「10+2の再々交渉案」を提案し、それを持って米国との再交渉に乗り出すべきだと主張している。

しかし、民主党の再々交渉案の内容を見ても今まで国内の議論でほとんどが合意した内容であり、今になって修正すべきということはあまりにも非現実的である。しかも一部の内容は民主党政権のときの交渉で米国と合意した内容である。とりわけ、反対側は最大の被害分野として米国の輸入関税の撤廃時期が4年間延期された自動車分野を取り上げている。自動車産業の場合、米国の輸入関税の撤廃時期が4年延期されたことは当初の交渉内容より不利になったことは事実である。しかし、韓国の乗用車の輸入関税が米国より高い4%が4年間維持されること、現地生産の拡大に伴い対米輸出が急増している自動車部品の輸入関税(8%)がFTA発効と同時に撤廃されることなどを考慮すれば、それほどバランスが崩れた交渉内容とは言えない。何よりも自動車業界からは交渉内容よりも早い批准法案の処理を望んでいる。また、自動車分野での譲歩の代わりに豚肉と医薬品などの分野で米国の譲歩を引き出しているなど一方的に不利な交渉結果とは言えない。2国間FTAなど通商交渉の基本はギブ・アンド・テークであり、米国に関税撤廃など譲歩を迫るためには、まず韓国がそれに相応する市場開放をしないといけない。

米国は世界市場の25%を占める最も大きな市場である。韓国は米国とのFTAによって通信機器、電気電子、自動車などの分野で主要競争国である日本、台湾、中国より世界最大市場での競争上有利な立場になる。実際に、韓米FTAを見る競争国からは影響を懸念する声が強まっている。また、韓米FTAは商品貿易だけではなく、サービス、投資分野を含む包括的な協定であり、自動車など一部品目だけではなく全体的な分野における損益と中長期的な観点から判断すべきである。特に、対外依存度が高い韓国としては世界的なFTAの流れに積極的に参加しなければならないし、米国、EUなどの巨大経済圏とのFTA締結は急変する国際経済環境の中で持続的な成長を可能にするためには避けられない選択である。韓国としては、インド、EUとのFTA締結に次ぐ米国とのFTAが発効すると、アジア経済におけるハブ国としての役割も期待できる。

以上のように韓米FTAは両国にwin-winになる内容であり、批准されない理由はない。現時点での反対側の主張は、経済論理よりは来年の総選挙や大統領選挙を意識した政治的な思惑があるとしか思われない。世界経済の環境が厳しさを増している中で、国益に大きな影響を与える韓米FTA批准問題をこれ以上政争の道具にしてはならない。