中国東北部からのメッセージ (2)

|中国

冒頭に際し、今回の東北関東大震災で被災された皆様に心よりお悔やみ申し上げますと共に、一日も早い復興を心よりお祈り申し上げます。

最近の中国総覧

  • 2010年、中国は経済指標で大きな節目を迎えた。GDPが日本を抜いて世界第2位になったことである。それに加え、エネルギー消費が、米国を抜いて世界最大になった。逆に言えばエネルギーの安定供給があったからこそ高成長を続けてこられたといえる。その他の経済指標でも、貿易額、外貨保有高、粗鋼生産、自動車市場などが世界第1位を誇る。
  • 2011年3月、中国の全国人民代表大会(全人代)が開催され、温家宝総理は、輸出主導の高成長路線から内需主導の経済モデルへの転換を強く打ち出した。経済成長率は7%と控えめに設定。量から質への転換を狙う。
  • 2012年は地球規模での政治の季節である。米国はもとより、近隣の韓国、台湾でも大統領選挙が行われる。中国では胡錦涛主席から習近平副主席への政権の委譲が予定されている。内部に諸問題を抱える中国にとり、経済の安定こそが政権維持のための喫緊の課題である。
  • 本年2月、香港貿易発展局と関西日本香港協会共催の新春セミナーに出席した。香港をエンジン役とする中国とアジア間の人・物・金の急速かつ大きなうねりを実感した。2003年、中国・日本間の貿易額は、中国・アセアン間の貿易額の2倍に達していたが、現在は、ほぼ拮抗している。中国のGDPは、2030年には米国を抜き、日本の4倍になると推測されている。一国三制度、中国に、香港や台湾を加えれば(会社で言えば、連結決算)さらに前倒しでの実現となるであろう。
  • また、中国は資源確保の観点から、多面的外交を展開中である。経済面でのパートナーもアジアを中心に広がっている。日本も「中国とどうお付き合いをしていこうか?」と悠長に構えておられる時代はもう終わりを告げるかも知れない。選択する立場から選択される立場に変わってきていることを大いに認識する必要がある。

中国東北部への進出例

  • 先述した如く、中国の経済成長は上海を中心とする華東地区や、香港・広州を中心とする華南地区に支えられている。両地区には、国のノルマが大きく両肩にかかっている。しかるに東北部は、現在進行形。将来大化けする逸材との位置づけである。東北振興政策の結果、多くの国有企業がレイオフ労働者や不良資産を抱えるメタボ体質からの改善に成功した。新進気鋭の民間企業も育っている。日本にとり、貿易や事業のパートナー企業は着実に増えている。中堅日系企業の瀋陽市への進出例を参考に、成功への秘訣を感じ取って頂ければ幸いである。
  • 瀋陽市は「東汽(自動車)西重(工作機械)南高(ハイテク)北農(農業・食品)という言葉で表されるが如く、周辺開発区の発展方向性を旗幟鮮明にしている。日系企業は、製造業を中心に大手・中堅がコンスタントに進出しているが、サービス系企業は、まだ少ない。そんな中、試行錯誤の結果、業容拡大中の日系企業を紹介したい。

(1) 瀋陽飛鳥運輸

日本での業務が頭うちになり海外への活路を見出したことが発端である。運輸会社としての営業認可が難しいことがわかり、先ずは商貿公司を登録し、ここからの出資という形で運輸会社を発足させた。客先開拓は、主として日系企業。日本から派遣された総経理は、瀋陽日本人会にも加入し、人脈とサポーター作りに奔走した。日系企業は同コストなら必ず日系に発注してくれるはずとの思いもあった。オーダーの増加に伴い保有車両台数も増加、きめ細やかな対応ができるようになり顧客の信頼度が高まってきた。現地スタッフの育成にも注力した。現地に溶け込もうとの姿勢と努力、中国や中国人への理解が、地に足のついた展開に繋がっている。

(2) 瀋陽市工作空間

進出済み日系企業から、「瀋陽に新工場を建設したいが、内装・設備工事の設計施工ができる立派な業者を探している」と聞いたことが進出のきっかけである。当初は、かばんひとつで瀋陽に出張、契約先の事務所に机を借りてのスタートであった。香港で永住権をとり香港出資の内資企業扱いということで個人名義で登録した。瀋陽での業務拡大に伴い内装施工会社と販売会社も登録した。中国東北部は、伝統的に日本語人材も多く、優秀なスタッフの確保が可能である。東北人の民族性は誠実且つ善良である。現在、瀋陽で設計施工のライセンスを持つ唯一の日系内装業者ということで顧客も増えている。経営者の起業に燃える意欲はもとより、まさに天の時、地の利、人の和を髣髴とさせるサクセスストーリーである。