ロシア向け北方型住宅の販路拡大を目指して

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今年北海道からサハリン州を訪れるビジネスマンが増加している。2009年3月の「サハリン2」の本格稼動後、エネルギー関連の需要が収束する一方で、民間をベースに建設関係の交流が拡大している。そのけん引役となったのが、サハリン州内に建設された北海道企業による2軒のモデル住宅である。

2009年2月に完成した第1のモデル住宅は、北海道のハウスメーカーが、サハリン州の投資会社と技術提携を結び建設した。モデル住宅の施工に際しては、日本人技術者の指導のもと、現地作業員が作業を行った。建設資材も可能な範囲でロシア製品を使用し、北海道内の自社工場で製造した住宅断熱パネルや主要資材・設備のみがサハリン州に輸出された。同社は、2008年5月のパートナー探しを目的としたサハリン訪問から翌年2月のモデル住宅完成まで、比較的短期間で実績作りに成功した。現在もロシア向けに高品質の日本製住宅部材の輸出や技術指導を実施している。

第2のモデル住宅は、2009年9月に完成した「ALL JAPAN」のモデル住宅である。サイディング工事業を営む北海道の企業が、サハリン州の貿易会社と協力し、基礎工事から完成まで、日本人の職人の手によって建設した。建設資材は砕石と生コン以外はすべて日本製資材を用いている。同社は、2003年に外装材をサハリン州に輸出して以来、サハリン各地で施工指導セミナーを開催し、積極的に現地の人材育成に力を注いできた。同社は、ロシア国内に販売代理店を複数有し、ロシアでのビジネスを積極的に進めている。

今年になって、上記2社の技術者を含む道内企業を中心とした調査団は、サハリン州の凍結深度の調査のため地中に温度計を設置した。サハリン側は実際の凍結深度を把握していないという。このような日露技術者同士の交流よって、両国の技術格差は少しずつ解消されつつある。

地方の建設会社もサハリン向けに北方型住宅の輸出に動き出した。今年9月、旭川市の建設関連4団体は、ツーバイフォー工法を使った富裕層向け、2世帯住宅向け、そして一般向け軸組在来工法の3つのプランをサハリン企業に提案するためユジノサハリンスク市へミッションを派遣した。今年10月には関心を示した現地企業を旭川市へ招聘し、旭川企業とのビジネスマッチングを実施する予定である。

北海道は、長引く不況に伴い、公共投資が減少し、住宅着工件数も大幅に減少している。道内企業がサハリンへ目が向く理由は、このような社会情勢を反映している。

ロシア連邦では、2006年以降ロシア連邦国家優先プロジェクト「ロシア国民への手頃で快適な住宅」が実施され、ロシア連邦内各地で分譲住宅建設発展のための土地の確保やインフラ整備などが活発に進められている。サハリン州でも、州政府独自の住宅プログラムが実施されている。また深刻な震災被害を経験しているサハリン州は、住宅や公共施設の耐震性向上を目的としたプログラムを策定しており、日本の耐震技術に対する期待が大きい。

ロシアでビジネスを成功させるためには、現地企業との連携、現地労働者の人材育成が必要不可欠である。耐久性、耐火性、耐震性そして省エネルギーで環境にもやさしい北方型住宅がロシアで販路を拡大するためには、日露技術者間の人的交流を推進し、一つ一つ実績を積み上げていく必要がある。