北海道とロシアとの経済交流について ―日本の新幹線をモスクワへ―

|ロシア

「9月中旬、アメリカにおける新幹線の導入を検討するため、シュワルツネッガー・カリフォルニア州知事が来日。その後、同様の高速鉄道を運営している韓国を訪問して帰国した。」との報道は、皆様の記憶にも新しいものと思います。

私は、この報道に接しながら、昨年の出来事を鮮明に思い起こしていました。

昨年10月に、北海道内で編成された経済ミッションの事務局の一員としてロシア・極東地域を訪問した機会に、ハバロフスクでブーリーさん(現ザバイカル協会副会長、北海道庁に勤務した当時からの10数年来の旧知の方であり、個人の資格でお会いをしたので「さん」と表現します。)と面談した際に、私から「日本の新幹線をモスクワへ」と言う提言をしたことを思い起こしたからでした。同様の内容を、管区の副代表のレベンターリさんにもお伝えしています。

私は、こうした分野の専門家ではないので単なる構想の範疇でしかないのですが、内容としては「日本の新幹線である青森~函館間を、更に延長し、札幌から稚内を経由し、宗谷海峡に橋を掛けてサハリン島を北上、間宮海峡をトンネルで大陸に抜けて、ハバロフスクを分岐点として、シベリア鉄道に沿ってモスクワにいたる壮大なシベリア新幹線と、ウラジオストクに分岐し、中国北東3省を経由して北京に至る国際列車の建設をしてはいかが。

目的は、広大な国土における物資の効率的で高速な輸送、これまでの人だけでなく物資の輸送手段としての新幹線であり、ロシアから日本へは豊富な資源を、日本からは工業製品、消費財や加工食品を輸送する物流幹線です。中国北東3省の農業生産物のロシアを経由した域外への搬出(輸出)も容易となります。東京~モスクワ間は、時速300kmで走行すると、1日半で到着します。互恵方式による迅速な通関体制を組めれば、3日間で日本食の生鮮な食材を、ロシア国民の食卓にお届けすることができます。

ロシア新幹線の敷設は、これまで想定されてきた流通体制を大きく転換して、可能性を格段に拡大することができます。ロシア側のメリットは、日本および日本を経由した地域との貿易に伴う物流の促進ですが、何よりもウラル山脈以東のシベリア、極東地域の発展と地域経済の安定に多大な貢献が期待されるところにあります。」

まあ、ざっとこんな内容の提案でした。

日ロ間における政府、経済界レベルで様々な協力関係に関する検討協議がなされ実行され、また実行されようとしているかは、最近の報道機関による報道を見ているだけでは、正直に言って良くわからないところです。ただ、私も長くロシア関係の仕事に携わってきたこともあって、今更ながらの議論であることも承知はしておりますが、日ロ間、特に経済交流に関しては、新幹線ほどのスピードが備われば、両国民の認識も新たとなるものと思います。

たまたま承知をしたカリフォルニア州知事の新幹線の視察が、ブーリーさんへの提言を想起させましたが、私は、この提言の流れが北海道の対ロ交流、少なくとも経済交流のこれからの基本となるものと考えているからです。

きっと、対ロ貿易に積極的に取り組んでおられる日本海沿岸地域の方々には、新幹線は、耳障りな話かもしれませんが、次回は、北海道が歩んできた対ロ交流、特に今後の方向性について思うところを、書き綴ってみたいと思います。