北海道とロシアとの経済交流について ―特に食品に関して―

|ロシア

北海道の域際収支の赤字は、なんと2兆7千億円もある。この額は、北海道の総生産額20兆円の10分の1を超えるほどの驚異的な数字である。一般の家庭で言えば、まさに崩壊でしょうね。しかも、いつ始まったのかと思うくらい前からず~と続いている。これでも存続しているのは、なんとも凄いことだ。

こうした赤字の大部分を開発予算とかの国からの支援で賄われていたが、これも年々減少しているので、この額はさらに拡大する傾向にある。

北海道としては対外的に優位なアイテムを探しだして、収入の増加を図ろうとしており、食と観光をその目玉に据えている。ただ、北海道の加工食品の生産額は、2兆円強くらいだから、農水産物を含めて北海道で生産される全ての食品を、北海道民が飲食を切り詰めて域外へ売りさばいてみて、どうにか均衡が成り立つかどうかなのだが、そんなことは非現実的な空論である。

したがって、北海道は食品だけでなく、売れるものはすべて売るくらいの覚悟で、必死に取り組むことが必要だ。

2000年に、私が北海道庁でロシア室長をしていたときに、サハリンに北海道サハリン事務所を開設した。狙いはサハリンプロジェクトを背景とした経済交流の拡大である。

さらに、確実な交流の促進を図るために企業等が主体となった北海道ビジネスセンターも併設したこともあって、建設機械、資機材、建設関連工事、中古自動車など、いわゆる建設関連の貨物類の輸出が大きく伸びた。ただ、2009年に入ると、中古自動車の対する関税の大幅な引き上げと、サハプロの建設関係が一段落したことから、こうした経済活動は大きく落ちこむことになったが、これに代わる分野を見いだせないでいるのも現状である。

こうした中で、二つの動きが定着しつつある。

一つは、建設関係である。サハプロの余波を受けて、ユジノサハリンスク市に建設された戸建住宅のモデルハウスが、非常に関心を呼んでいる。いわゆる寒冷地技術が評価されている。これは、建築ばかりでなく、国民生活に係るインフラ整備を始め、社会経済活動の基盤整備など、建設全般にわたる寒冷地技術を売り込める可能性を示唆している。

さらに発展させれば、建設関連は公共的性格が強いので、都市計画から建設、管理、サービス・運営、メンテナンスに至るまでをセットにして、官主導の輸出をすることもできる。

北海道としてはその売り込み方法を検討すべき時期にある。

もう一つは、食品である。エネルギー資源を背景にロシア経済は大きく発展し、国民の生活水準を底上げしてきている。モスクワを始め日本食を扱う飲食店が急増しており、いわゆる健康志向食品の普及段階から、質の向上に向かっていると理解している。こうした環境にありながら、北海道の食品関係は目に見えた動きになっていない。それは、北海道のように中小零細企業が圧倒的に多い地域にあっては、多品種、小ロットで扱い金額も小さいうえに、賞味期限などの制約があってリスクが大きい商品なので、非常に扱いにくい点がある。

商売としては、一番やりたくない内容であるが、北海道が食をメインに据えたからには、ここを解決しないと進展しない。

2006年に、サハリンで行われた「北海道の食品」に関するプレゼンの際に、地元TVの質問に対して「経済交流は販路の確保が重要であり、サハリンを起点として極東大陸地域や、モスクワまでも視野に取り組む必要がある」と述べたことがあるが、経済活動として継続していくためには、商材をコンテナ単位で動かせるくらいの安定した消費市場の存在と確保が必要である。

だが、私の知る範囲では、こうした物流を担える企業は、北海道にもサハリンにも存在していなかった。

無ければ、造るしかない。それで、2010年に株式会社GIプランに転籍をして貿易を実行出来る体制を構築し、ウラジオストクで開催された見本市に参加をした。この事業は、北海道が道産食品のPRを目的として20品目をテスト販売したものであるが、非常に好評であった。ほとんどの商品が完売となり、商売ベースによる輸出にも繋がった。

これで、長年の懸案であった食品に関する貿易のパイプを、やっと切り開くことが出来たものと思う。

これからは、そのパイプを広げるとともに、ロシアだけでなく、東南アジア地域も含めて、各地へと展開できる食のパイプラインの本数も増やしていく必要がある。

そこを目指したい。

次回は、食品に関する貿易の課題と解決策などについて、考察してみたい。