貧困層寄りの住宅融資制度の支援開発についての考察

|ロシア

適切な住宅を手に入れることは、人間の基本・基礎的な権利である。家族が暮らすためのシェルターや居場所の提供ばかりでなく、基礎インフラ、雇用、教育、医療サービス、信用取引などのサービスや公益事業を得るための評価基準とも考えることができる。住宅分野は、その乗数効果がその他の産業600以上に波及するほどの経済の重要な推進力である。

モンゴルの都市部には、2つの大きく異なる特徴的な住宅開発のパターンがある。1つは、おおまかに決められた空地に囲まれた住宅地区を元にした計画区域で、実施計画のある集合住宅様式である。もう1つは、広く設備のない細長い小区画が特徴的な、最低2車線の道路をもつ「仮設」ゲル1地区で、現在それが都市部の成長の大部分を占める。ゲル地区では、極めて貧困、貧困、低所得、少し余裕がある、そして中間所得者という様々な人々が入り混じっているという特徴がある。国全体の都市部では、ほとんどこの両方のタイプが見られる。1990年代の初め以降、モンゴルは急激な都市化を経験し、とりわけ1998年からは地方に住む世帯や遊牧民たちの多くが、ウランバートル近郊やアイマグの中心に移住し、そこでゲルに住み低価格住宅を自分で建てたのである。モンゴルの人口280万人の約59%が都市部に分布し、都市人口の半分以上は首都ウランバートルに集中している。

その結果、ゲル地区と秩序立てられた住宅開発の間では、サービス設備の差がますます広がっている。ゲル地区のゲル住宅の90%以上は電気が通っているが、実質的にセントラルヒーティング設備に繋がっていない。その代わり、各家庭は調理や暖房に、石炭、肥料、薪ストーブを使っている。ゲル地区への水はほとんどトラックで運ばれキオスクを通じて供給されるが、最も遠い世帯はそこから1km以上も離れている。このような遠距離を、しばしば悪天候の中で水を運ぶため、ゲル地区の住民が1日に使う水量は4~10リットルと、WTOが推奨する健康基準量をはるかに下回っている。さらに、キオスクで買う水の値段は、アパートに住む住民たちが中央供給水に払う値段の20倍もする。公衆衛生では、実質的には全世帯が原始的な汲み取り式便所で、不便であるだけではなく、人的・環境的健康を脅かす危険が増加している。

秩序立てられた都市部のインフラ網は、ゲル地区に比べ良いとはいえ、概して古くて老朽化しており、特にセカンド都市で顕著である。技術が時代に即していないだけでなく、長年に亘る不適切なメンテナンスや修理のために、これらネットワークの効率は悪く、将来的な都市の成長に合わなくなっている。このように、適切な住環境がモンゴルでは非常に大きな課題となっている。

多くの人にとって、住宅は最も高い買い物であり唯一最大の財産である。圧倒的多数の世帯は、このような大金を前払いで支払うことができず、手ごろでより支払い易い期間の信用貸しの利用に決定的に頼ることになる。よく知られているように、公的金融機関は、ほとんどの貧困層が満たすことのできない、正しく認められた信用貸しの記録と、定期収入、担保という必要条件をもつ顧客に貸し出しをする。また、貧困層は収入に応じて収入があるときに、住宅を建築し改修し拡大する傾向にある。そのため、彼らはしばしば簡単に支払える小規模な一連の住宅ローンを借り続けるが、コスト効率的に公的住宅金融機関からは貸し出しが行われない。このような制限の中で貧困層に住宅資金を貸すために、数カ国の非政府機関や地域ベースの組織が、マイクロクレジットや地域ベースの住宅融資制度を作り、特に多くの貧困地域の非公式な人たちに適用されている。しかし、このような住宅融資制度は、たいてい規模が小さく、限られた世帯にしか使われないことが多い。

そのため、貧困層寄りの住宅融資に対する大きな必要性と、その達成の厳しさとの間の食い違いに早急に取り組まなければならない。非政府、地域ベースの組織が貧困層への継続的な利用を提供できる一方で、公的住宅融資部門は、必要とされる大規模融資を提供することができる。大きなアプローチの1つとして、公的住宅融資部門と連携することによって、マイクロクレジットと地域ベースの住宅融資部門の規模を拡大する可能性を探ることである。革新的で経済的に継続能力のあるウィン・ウィン解決法を見つけることが課題であり、それによって、より多くの貧困世帯が住宅融資を利用し、同時に、公的住宅融資部門が、これまで手の届かなかった膨大な顧客市場に参入することができるのである。

[ERINA翻訳]

  1. ゲルとは、伝統的なモンゴル遊牧民のフェルト生地のテントである。ゲルテントを主流とした様々なシェルター型を持つ日常の都市型住宅は、ゲル住宅地区と呼ばれる。地方の大部分と、都市部の人口の6割は、今でもゲルで暮らしている。