モンゴルにおけるコミュニティ主導のゲル地区向上過程の開発

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モンゴルの人口は1921年の改革前にはおよそ60万人であったが、2010年には270万人を超えた。1950年には5万人ほどでしかなかった都市部の人口は、2010年には100万人以上、全人口の約45%を占めるようになった。これは、1950年の20倍に膨れ上がったことになる。人口増加と都市化の加速によって急速に拡大した結果、都市部の人口のおよそ70%がインフラと社会サービスの欠乏に直面し、とりわけ無計画な定住が多いゲル地区において顕著である。

長い間、ゲル住居地区はモンゴルの都市景観の代表であった。そうは言っても、ゲル地区改善の努力は、限定的かつ段階的にしか行われず、より広域的、長期的な改善を図ることには関心が向けられなかった。これが今や変化し、ゲル地区もより正式な市や町と同様のインフラ改善と都市サービスが必要であることが認められつつある。

適切な住宅と健康的な生活環境は、我々の生活における最も重要な側面の1つであり、厳しい冬を含む四季をもつ場合はなおさらである。モンゴルは、社会主義もしくはトップダウン政権の下で70年間発展してきた。この制度の下、住宅は政府の負担で供与され、国民は各機関を通じて家具付きアパートを与えられたが、その結果、従業員の住宅確保には順番待ちができていた。家具付きアパートの供給数には限りがあったために、多くの住宅はゲル地区におかれた。当時、政府の政策では、ゲル居住地区を町から移転させることを主眼としていたが、その試みはほとんど実行されなかった。最近、住居環境改善に向けて多額の財政援助を受けた事業が数多く行われている。その結果は、コミュニティの積極的な参加がないために不十分なものとなっている。

現在、とりわけ生活水準の改善が必要なゲル地区においては、人的主導型の開発アプローチの導入が重要である。社会・環境分野の持続的統合の達成に向けて、政府・国民の責任が増長しているとは言え、情報交換の不足とコミュニティの不参加は、依然、続いている。

ゲル地区の改善と開発のためには、現実的なコミュニティのニーズに基づいた国家予算及び国際機関・ドナー機関からの投資の利用が原則となる。しかし、次のような疑問が投げかけられる。実際のニーズは、誰が決めるのか。それは地方自治体か、それとも現実的には政治及び経済改革から独立しているコミュニティか。答えは、「コミュニティ」である。それでは、我々はそれらをどのようにしてコミュニティの中の住民と連携することができるのか。生活環境と開発活動の改善において、コミュニティを単なる受取人や受益者としてのみならず開発者とするためには、貯蓄活動が重要な手段となることが、多くの成功例で認めていることである。同様に、ゲル地区の貧困を著しく減少させることができる。

コミュニティ貯蓄は、人々を定期的、継続的、自発的基盤で一同に引き寄せる日常を基盤とした活動である。共に働きながら、コミュニティは自らの資源を基盤とした純粋な基本的なニーズをどのように取り扱い管理するかに気付くことができる。言い換えれば、これはコミュニティを基盤とした貯蓄と貸付活動から、複合的財政メカニズム及び物理的開発活動への移行を学ぶ1つの過程である。また、コミュニティに対して、本当の包括的な自発的開発過程に必要な能力と確信を提供する段階的過程とも言える。コミュニティ内において、お互いの生活と、いかにして共同管理をするかについて、継続的な学びの場を作りだすことになる。

このようにして、独立したコミュニティに基づく機関(CBOs)を立ち上げるためには、コミュニティを心理的・財政的に訓練するためのコミュニティを基盤とした貯蓄グループを早めに形成することが先見の明あることである。つまり、テレビを買いたいとか、学校の授業料になど、主に個人的な財政的ニーズを満たす企業体で働く人々の間に、貯蓄グループ立ち上げの経験がいくらかはあるということである。今のところ、ゲル地区住民の中に、コミュニティ開発活動のために貯蓄を立ち上げた事例はない。

従って、コミュニティを基盤とする貯蓄の立ち上げには、道路、水道、大気、土壌問題などの共同生活空間を改善・開発するために、ゲル地区住民を一つに繋ぎ合わせるという意味合いがある。中央計画経済の時代に「隣人組織」と名付けられたコミュニティ機関が、今や「共同管理組合」に変わり、アパート建築の共有部分を担当している。このようなコミュニティ機関立ち上げの目的と目標は同一であることから、コミュニティ協力の基盤を、当初から効果的に自発に置くことが必須である。

都市開発資源センター(UDRC)は、コミュニティの積極的な参加を伴ったゲル地区の生活環境改善の枠組みの中で、地理的に住む場所が近いコミュニティ同士が、生活環境の改善について学び、その理解を変える手助けをしている。UDRCはおよそ200のコミュニティと共に活動し、それぞれの問題を共に解決し、解決策を見つけ、そして最も大切なことは、共同開発に向けてゲル地区の住民間に信頼と確信を醸成するという目的をもって、貯蓄グループを立ち上げる支援を行っている。

[ERINA翻訳]