「北東アジア経済会議2002イン新潟」

NHKラジオ第一放送「ラジオあさいちばん」
 放送

Q: 北東アジアについて、今朝はERINA調査研究部・研究員の新井洋史(あらいひろふみ)さんにお聞きします。新潟で、1月28日、29日の二日間、「北東アジア経済会議2002イン新潟」という国際会議が開催されるとお聞きしましたが、どのような会議ですか。
(新井) 今回の会議には、日本国内はもちろんですが、中国や韓国、ロシア、モンゴルといった北東アジアの国々を中心に、恐らく300人から400人くらいの方々が参加することになると思います。
実は、新潟では、こうした北東アジア、あるいは日本海を巡る地域ということで環日本海地域とも言いますが、この地域での協力をテーマとした会議を1990年から毎年開催してきていまして、今回はその13回目になります。少し歴史を振り返りますと、80年代の後半に、それまでの冷戦構造が次第に緩んでくる中で、日本海を対立の海から平和の海にしようといった考え方が出てきまして、いわゆる「環日本海経済圏構想」というものが言われ始めたわけです。その頃から、新潟県や新潟市といった自治体と地元の経済界が一緒になって、この地域の経済協力や経済の発展をどうやって進めていくかということを話し合うための会議を開いてきたわけです。
Q: 今回の会議では、具体的にどういったことが話し合われるのでしょうか。
(新井) ひとつには、運輸物流の問題があります。これは、過去5年にわたって取り上げてきている問題で、この会議の中心テーマのひとつです。経済交流を進めて貿易や投資を増やしていこうとしても、貨物がきちんと輸送できなければうまくいかないだろうということで取り上げているものです。環日本海地域はそれぞれの国の中でも、経済発展が比較的遅れている地域が多くて、もともとインフラが弱いという面がありますし、国境での通関手続きなどソフトの面でもたくさん問題があります。具体的に貨物がスムーズに流れないところ、たとえば中国とロシアの国境、あるいは中国と北朝鮮との国境をまたぐ部分などについて、ハード面・ソフト面両方の問題を一つずつ取り上げていって、解決していこうということで取り組んできています。
そのほかにも、会議では環境、貿易投資、エネルギー、開発金融、地域協力など全部で7つほどのテーマを設定しておりまして、それぞれ各国の政府関係者や民間の企業関係者、あるいは研究者の方々による議論を行う予定です。環境に関して言えば、環境の保護と経済の発展を両方とも同時に進めていくために、環境にやさしい製品を作ったり、新しい技術を導入したりといった面での国際的な協力の進め方といったようなことを話し合う予定です。
Q: いままで、10年以上も会議を続けてこられて、その中でいろいろな話し合いをされてきたと思うのですが、具体的な成果としては、どのようなものがあるのでしょうか。
(新井) 私どもの研究所、ERINAの設立は1993年なのですが、それまで何回かの会議では北東アジア地域の経済について専門的に取り組む研究所が必要だということが言われていましたので、そういう意味ではこの研究所ができたこと自体が、会議の成果かもしれません。ただ、実際のところ、やはり最初のころの会議はどちらかというと学者の方々が中心だったこともあって、必ずしもすぐ実現には結びつかないような話も多かったわけです。そこで、ここ2・3年は、できるだけ具体的な成果のある会議にしようということで、いろいろ工夫をしています。
ひとつの例が、固定メンバーによる組織委員会というものを作ったことです。つまり、年1回の会議の時に、いろいろな人に集まってもらって、その場限りの意見交換をするというのではなくて、問題が解決するまで継続的に話し合っていこうということです。特に、先ほど申し上げた運輸物流の問題については、1年半くらい前に、各国の専門家による特別のグループを作って、どこにどういう問題があって、どうやって解決していけばよいかというような問題に共同で取り組んできました。こうした作業の集大成として、北東アジアの輸送ネットワークについての将来像、ビジョンを取りまとめましたので、今回の会議でその成果を公表することにしています。このビジョンでは、北東アジアの骨格をなすような主要な物流ルートを9本取り上げて、どこにどのような施設を整備すべきかということを提案しています。
Q: わかりました。昨年末には、中国もWTOに加盟して、ますますこの地域に期待がもてそうですね。
(新井) そうですね。中国の発展振りについては、皆さんもよくご存知だと思いますが、実はロシアも10年くらい経済の低迷に苦しんできたのですが、2000年は8%、昨年も恐らく約5%の成長を達成したと見られていまして、ここのところ急速に経済が回復しています。こういった状況ですので、是非多くの皆さんに関心を持ってご参加いただけるとありがたいなと思っています。
Q: わかりました。新井さん、今朝はありがとうございました。