「APECフォーラム・投資シンポジウム」

NHKラジオ第一放送「ラジオあさいちばん」
 放送

Q: 北東アジアの話題から、去る9月初旬ロシア極東のウラジオストクでAPEC関連の催し物がありましたが、参加のERINA(環日本海経済研究所)経済交流部の佐藤尚さんにお話をお聞きします。おはようございます。
(佐藤) おはようございます。
Q: 最近また北朝鮮との対話が進められようとしていますが、南北鉄道を連結しようとする動きは今どうなっているのでしょうか。
(佐藤) 全体の全日程は9月4日から12日までで、前半の9月4日から7日までは市内のホテルで投資シンポジウムが開催されました。これにはロシアの経済関係の省庁、研究所のトップクラスが参加し、報告を行ったと聞いております。残念ながら私はこのシンポジウムには参加しておりません。後半の9月9日から12日まで投資フェアが開催され、こちらに参加しました。会場は「ウラジオストク・エクスポ」と言う客船ターミナルの建物を見本市会場に改築した会場で、この会場内に日本政府が約100平米の区画を借り、関係機関にスペースを貸し出しました。新潟県、富山県等の地方自治体と並びエリナもブースを構えました。
Q: ERINAは調査研究機関と考えられていますが、このような投資フェアに参加する事の意味はなんですか。
(佐藤) 確かに、ERINAは調査研究機関としての性格はありますが、それ以外にも北東アジア地域おける貿易・投資の拡大に役立つ実際的な活動も実施しております。
Q: 具体的にどのような活動なのでしょうか。
(佐藤) 東海岸線を国際輸送に利用する可能性が考えられます。
一番目は中国吉林省へ繋ぐ構想です。これは北朝鮮の図們江地域の清津や羅津と吉林省・延辺州を結ぶ既存の鉄道網を利用するもので、韓国東海岸と吉林省が鉄道で結ばれることになります。吉林省東部の延辺州には朝鮮族が多いこともあって韓国企業が多数進出しており、現在、海上輸送に依存している韓国貨物が陸路運ばれる可能性があります。
二番目はロシア沿海地方へ繋ぐ構想です。これは既存の北朝鮮の羅津とロシア沿海地方のハサンを結ぶ鉄道を活用してシベリア鉄道に繋ごうというもので、ロシア鉄道省は韓国貨物を北朝鮮経由でロシアへ輸送することに大きな関心を示しています。
Q: シベリア鉄道と朝鮮半島縦断鉄道をリンクすることで、ロシア側はどんなメリットを考えているのでしょうか。
(佐藤) 現在、韓国発着で海上輸送を経由しシベリア鉄道に乗るコンテナ貨物が、20フィート換算で年間約8万個程あり、ロシア西部、フィンランド、中央アジアなどを結んでいます。ロシア鉄道省は現在韓国と沿海地方港湾と結んでいる海上輸送部分を鉄道に置き換えることにより、何とか通し料金を押え、スエズ運河経由の海上輸送の価格攻勢に対抗できるのではないかと考えています。
Q: 競争力を持った、新しい輸送回廊が展望できるのでしょうか。
(佐藤) もちろん、いくつかの課題があります。線路幅が違うため朝ロ国境で積替えが必要となること、鉄道建設や施設の近代化は広範に及ぶこと、韓国貨物に対して北朝鮮が通過料を要求したり、韓国国内の鉄道料金もかなり高いと言われています。今後、韓国企業も製造拠点を他のアジア諸国に移し、韓国発着貨物が減少する可能性もあります。多くの問題が指摘されていますが、既存のルートと新しいルートの間に競争が生まれれば、輸送サービスは改善され料金は下がります。
南北鉄道の連結が朝鮮半島の安定に寄与することは言うまでもありません。
Q: 佐藤さん、早朝からどうもありがとうございました。