北東アジアにおける国際環境協

NHKラジオ第一放送「ラジオあさいちばん」
 放送

Q: きょうは、北東アジアの環境問題を取り上げます。ERINA(環日本海経済研究所)の会田洋(アイダ・ヒロシ)さんに、この地域で国際環境協力をどう進めていくかお聞きします。まず最初に、北東アジアにおける環境問題の現状と取組みについてお話ください。
(会田) 北東アジアの環境問題には二つの側面があります。まず北東アジアの国々は、近年急速に経済成長したために、大気の汚染や酸性雨、河川の汚濁といった公害問題が深刻です。自然環境や人々の生活、産業活動に大きな影響を及ぼしています。その一方で、温暖化をはじめとする地球規模での気候変動による影響があります。砂漠化の進行や森林の消失、干ばつや渇水、異常高低温などの現象が顕在化しています。
今日の環境問題の特徴は、その影響が一つの国にとどまらずに国境を越えて国際的な広がりを見せていることです。従って、環境問題への取組みは各国における対策に加えて、国際的な連携が極めて重要になっています。
北東アジア地域における国際環境協力は、はじめ不活発でしたが、1990年代に入って政府間のほか様々な形で枠組みが作られ、かなりの進展が見られるようになりました。しかし、取組み相互の連携が十分でなかったり、各国の足並みが必ずしも揃っていないなど、まだ多くの課題があります。
Q: そのような中でERINAとしては、これまでどんな取組みをしてきているのですか。
(会田) 毎年新潟市で開催している「北東アジア経済会議」では、環境に関するセッションを設けています。そこで各国・各地域の代表から集まってもらい”北東アジアにおける経済発展と環境保全”をテーマに討議を重ねてきました。いかに環境を保全しながら経済を発展させていくかということです。
その討議のなかで、北東アジア地域では地球温暖化の影響がすでに深刻であり、地域的な環境問題もさることながら、温暖化防止がこの地域にとって重要であると指摘されています。そしてその解決には経済と環境を両立させる高度な戦略が必要で、その戦略の一つが環境産業を各国で育成し発展させることにあるとの提言がなされています。
これらの議論をふまえて、京都議定書に謳われた京都メカニズムの活用、それは温暖化防止のために先進国と開発途上国あるいは先進国同士が共同して温室効果ガス削減のためのプロジェクトを行うもので、それをこの地域での国際環境協力の一つとして軌道に乗せたいと考えています。そのうえで、環境産業をこの地域で発展させるための具体的な方策を、今後検討していきます
Q: その地球温暖化防止にむけた北東アジア各国の取組みあるいは京都議定書への対応はいかがですか。
(会田) 主な温室効果ガスである二酸化炭素の排出量では、中国、ロシア、日本、韓国などの北東アジアに関わる国々が、世界の上位を占めています。そして、北東アジア地域からの二酸化炭素の排出量は、世界全体の10%にのぼるという専門家の推計もあり、温暖化の影響を各国は深刻に受け止めています。
中国は、いまや世界第2位の二酸化炭素排出国であり、今後の経済発展に伴って排出量が更に飛躍的に増えることが懸念されています。中国は、開発途上国として温室効果ガスの削減義務を負ってはいませんが、国内で温室効果ガスを削減する京都メカニズムのプロジェクトには、自らの持続可能な発展に役立つことから積極的です。ただ、当面途上国としての義務と責任は果たすが、中進国になるまでは温室効果ガスの削減義務を負わない、と言っているのは気がかりです。
韓国も今のところ温室効果ガス削減の数値目標を課されていませんが、今後の義務化を視野に入れて、国内体制の整備など広範囲に準備を進めています。モンゴルは温暖化の影響が特に顕著ですので、京都議定書の最初の批准国の一つとなり、国際的な環境協力に対する関心は高いです。
焦点はロシアです。ロシアは、日本と同様に温室効果ガス削減の数値目標を義務づけられていますが、まだ京都議定書を批准していません。現在、京都議定書が発効するかどうかはロシアの批准にかかっているだけに、ロシアがいつ批准するのか今後の動きには目が離せません。
Q: そのような状況のなかで、これからの取組みについて教えてください。
(会田) 私たちは北東アジア地域において経済発展と環境保全の両立を図りながら、それぞれの地域が持続可能な発展をするための多国間の環境協力を目指しています。そのためにまず、各国各地域の関係機関との情報交換の場をきちんと作りたいと考えています。具体的には当面、関係者が定期的に集まって話合いをするラウンドテーブルを設置する計画です。そのような場で、多国間協力の枠組みを作り上げ、ゆくゆくは北東アジア環境産業ネットワークの構築や環境産業の振興に結びつけていきたいと思います。
Q: 今朝はありがとうございました。