「新しい北東アジア」東京セミナー

NHKラジオ第一放送「ラジオあさいちばん」
 放送

Q: きょうは、北東アジアにおける地域協力の重要性を東京で紹介する「新しい北東アジア」東京セミナーを取り上げます。ERINA(環日本海経済研究所)の三村光弘さんに、このセミナーについてのお話しを伺います。まず最初に、このセミナーの目的と概要についてお話しして頂きます。
(三村) この「新しい北東アジア」東京セミナーは、「北東アジア」という地域についての認識を東京で広めていこう、という考えをもとにして企画されました。東南アジアという言葉が一般的に広く使われているのに対して、北東アジアという言葉は、最近になり使われる場面が増えてきたものの、必ずしも一般的ではありません。また、その範囲についても、「東南アジア」がふつうASEAN10カ国を指すことは多くの人が知っていますが、まだ「「北東アジア」とはどこのことですか」、と言われても困ってしまう人が多いと思います。それで、今年度は5回にわたって、セミナーを行うことにしました。
Q: 「北東アジア」というのは、どのような地域を指すのでしょうか。
(三村) ERINAでは、北東アジアの地理的範囲を、日本、朝鮮半島、モンゴルと中国の東北3省と内モンゴル自治区、ロシアのバイカル湖以東とサハリンを含む部分と定義しています。中国のどこまでが北東アジアに入るのかということについては、いろいろな考え方があり、中国全体、台湾、香港、マカオまで入るという考え方もありますが、ERINAでは、東北3省と内モンゴル自治区ということにしています。
Q: この5回のセミナーというのはどのような構成なのですか。
(三村) 今年度の5回のセミナーは、「北東アジア」に対する各国の取り組みや認識についての話を聞こうということで、日本、ロシア、韓国、中国、アメリカから講師を招き、「北東アジア」に対して、またその中での日本の役割に対して、話をしてもらうと同時に、討論者を各回、数名ずつ招いて、議論をする中で、「北東アジア」の将来や問題点について考えを深めていこうというものです。第1回のセミナーは、6月17日(木)に、平山征夫(ヒラヤマ・イクオ)新潟県知事を講師にお招きし、「北東アジアにおける地域協力の内容と意義」と題して講演をして頂きました。また朝鮮半島の政治・経済がご専門の国士舘大学教授、小牧輝夫さん、日本の安全保障問題について発言されることの多い国際ジャーナリストの工藤雪枝さん、国際政治学者の東京大学教授、猪口孝さんに討論をしていただきました。
Q: 第1回のセミナーではどのような議論がなされたのでしょうか。
(三村) 平山知事は、なぜ環日本海交流と言われる対岸諸国との交流が新潟で盛んに行われるようになったのかを戦前の日本と大陸との関係や、冷戦期のソ連、中国などの対岸諸国との交流、冷戦終結後の対岸との交流への期待の高まりなど、新潟の「北東アジア」諸国とのかかわりを歴史的に説明した上で、中国の経済成長やロシア経済の復興などで、日本と「北東アジア」の交流は序幕から本番へと進みつつあると指摘しました。また、国家レベルでできないことも多い中、地方自治体や民間団体が交流に果たす役割は大きいと言うことを強調しました。討論者の小牧さんは、朝鮮半島問題の解決には時間がかかることから、「北東アジア」交流の本格化は長期的な視点が必要だと訴えてきた、と指摘しました。工藤さんは、中国では二酸化炭素の排出や環境問題が深刻で、日本や韓国が中国に対して省エネ策を提供する必要があると指摘しました。猪口さんは、モノ、カネの交流だけでなく、人と人が出会い、議論して、「考え」を交換することが重要であると指摘しました。
Q: 今後のセミナーではどのような話題がとりあげられていくのでしょうか?
(三村) 最近になって、北朝鮮の核問題を契機として六者協議という多国間の枠組みができましたが、これまで、日本と北東アジアとの関係は、日中、日ロ、日韓など、2国間関係で考えることが多かったと思います。そのために、日本と北東アジアの諸国(地域)との関係やプロジェクトには、十分な連携があるとは言えず、無駄があったり、足らないことがよくわからないなどの面で問題がありました。今後は、この地域に対する日本の関わり合いを国ごとではなく、地域として考えて、「北東アジア」全体に対してどのようなつきあいをしていくか、ということを考える必要があると思います。そのためにも、「北東アジア」の各国、そしてこの地域に大きな影響力を持つアメリカが日本を含む「北東アジア」に対してどのような考え方を持っており、また日本にどのようなことを期待しているのか、と言うことについて講演をして頂こうと思っています。次回は8月16日(月)の午後に東京・有楽町の国際フォーラムでロシアからの講師をお招きしてセミナーを開きます。ERINAのホームページ(https://www.erina.or.jp/)に案内が出ていますので、ぜひお越し下さい。
Q: 今朝はありがとうございました。