「新潟・日露エネルギーフォーラム2005」について

NHKラジオ第一放送「ラジオあさいちばん」
 放送

Q: 今朝のアジア情報は、エネルギーの話題を取り上げます。3月8日から9日、新潟市で「日露エネルギーフォーラム2005」という会議が開催されます。その目的や背景、内容などについて、ERINA(環日本海経済研究所)の丸山美法(みのり)さんに伺います。丸山さん、まずこのフォーラムの狙いから教えてください。
(丸山) 今回のフォーラムでは、特に「太平洋パイプライン」の建設計画にスポット当てます。昨年12月31日、ロシア政府は東シベリアの石油を太平洋岸へ運ぶ「太平洋パイプライン」の計画を承認しました。実は、この建設スケジュールや建設手法などの詳細は今年5月まで待たなければなりませんが、日本や北東アジア経済にもたらす影響や、日露エネルギー協力の展望、関連情報などを掌握し、新潟など地方経済への影響や経済効果などをいち早く考えなければなりません。そこで、日露双方の政府、研究機関、企業関係者を新潟に招き、専門的/実務的なところまで踏み込んだ意見交換をおこないます。
Q: 「太平洋パイプライン」というのは、どういうものなのでしょうか。
(丸山) これは、ロシアの東シベリアのタイシェットという町から日本海に面するウラジオストク近郊のペレボズナヤ湾というところまで石油パイプラインを建設する計画のことで、現在急速に注目を集めているものです。
Q: 特にどういった点で注目を集めているのですか。
(丸山) 理由はいくつかあると思います。一つは、日ロ間のエネルギー協力が本格化してきたことです。実は、東シベリアの石油パイプラインについては、1990年代から中国がロシアと交渉を進めてきました。2000年7月のプーチン大統領訪中により、東シベリアから大慶までの原油パイプラインを作ることで中露が同意し、2001年9月には、事業化調査の共同実施の調印もされました。その一方で、日本もロシアに対するアプローチを行い、2001年1月、小泉首相はプーチン大統領に東シベリアからナホトカまでの太平洋パイプラインを提案しました。さらに2003年1月の小泉・プーチン会談で「日露行動計画」が発表され、新しい協力分野としてエネルギー問題が取り上げられました。これを受けて、日本のガス・電力会社がすでにサハリンのガスの買付けを行っています。そして、今回の太平洋パイプライン建設プロジェクト、あるいはその他のエネルギー関連プロジェクトが日露関係そのものの強化にも役立っていくもの思われます。

2つ目は、日ロ間だけでなく、多国間でのエネルギー協力やエネルギーの安全保障の面です。2001年の9.11同時多発テロを境に、それまで原油輸入の9割近くを中東に依存してきた日本にとって、原油供給源の多様化・分散化は必至事項となりました。そのターゲットとして、対岸ロシアの資源開発プロジェクトが注目されているわけです。

しかし、日本を初めとする北東アジア地域全体にシベリアのエネルギー資源を供給しようという構想はすでに1960年代から語られていました。ロシアの資源を取り合うのではなく、近隣諸国が協力しあって生かしていくことが大切です。

Q: 新潟で行うと言うのも特徴ですね。
(丸山) それが注目される3つ目の理由でもあります。すでにサハリンではサハリン1,2が本格的に商業生産を開始しつつあり、北海道の企業などがインフラ整備などに可能性を見出しています。日本海側に達する「太平洋パイプライン」の場合、私たちの新潟県にも大きな影響を及ぼすだろうと考えています。
Q: フォーラムでは具体的にどんな内容で話し合われるのですか。
(丸山) 第1日目の3月8日は「ロシア極東の天然ガスと日本」と「太平洋パイプラインとエネルギー安全保障」について、2日目「資源開発計画にかかわる技術、効率性、ファイナンス等の諸課題」といった専門的な部分や「北東アジアエネルギー協力に向けた日露の課題」という政策的なものまで話し合います。太平洋パイプラインの計画案について、日ロ双方の実務担当者、関係省庁、研究者、企業の方々が一同に集まって議論するのは、公開のものとしては初めてのものになると思います。ERINAのホームページにアクセスしていただければ、明日まで参加申し込みを受け付けておりますので、皆様のご来場をお待ちしております。ホームページのアドレスは、www.erina.or.jpです。
Q: わかりました。丸山さん、どうもありがとうございました。