「2005北東アジア経済会議イン新潟」の提案

NHKラジオ第一放送「ラジオあさいちばん」
 放送

Q: 先ごろ(6月6~8日)、新潟市の朱鷺メッセで「2005北東アジア経済会議イン新潟」が開かれました。領土問題、領有権問題、核開発問題など、何かと話題の多い北東アジアですが、新潟での会議は北東アジアの経済協力に焦点を当て、1990年から15回目の開催となったそうです。今朝は、この会議の事務局を務めたERINA広報・企画室長の中村俊彦さんにお話を伺います。中村さん、まずこの会議の参加国や目的を教えてください。
(中村) 「北東アジア経済会議」は、中国、ロシア、モンゴル、韓国、北朝鮮、日本の北東アジア経済圏の中で、多国間あるいは地方間にまたがる経済協力に焦点を当て、毎年、いくつかの分野で議論し、提案を重ねてきました。今年は、おっしゃるような政治的・歴史的な問題がある一方で、東アジア共同体構想という大きな流れがあります。この構想の主要なメンバーが中国、韓国、日本というわけですが、政治・経済を動かす大きなファクターがエネルギーの安全保障や環境問題になっていることを考えると、ロシアを含めた北東アジアという地域の重要性をあらためて認識しなければならない、という背景がありました。

会議で議論したテーマはしたがって、この環境、エネルギーはもちろんのこと、従来から提案してきた北東アジア輸送回廊に観光という人の流れを加え、さらには、こうした分野を横糸に、各国・地方の状況を縦糸にして、北東アジアの総合的な経済開発ビジョンを描いていこうというテーマも取り上げました。

Q: 北東アジア交流では新潟などの地方がイニシアチブを発揮してきたと思いますし、さまざまな問題を抱える今だからこそ、その役割は大切なのでしょうね。最近の地方交流や経済交流の動き、成果といったものはあるのでしょうか。
(中村) 北東アジアでいま注目を集めている政策的プロジェクトは、中国東北部の古い国有企業を改造して産業や生活基盤を一新しようという東北振興政策、シベリアの石油をロシアの東海岸まで運ぶ太平洋パイプライン計画などがあります。日本の経済界も調査ミッションなどを出していますが、大きな投資が実現すれば、それに付随して資材供給やきめ細かなサービスなども求められてきます。もともと地方交流が盛んな地域のことですから、大きな流れの中で、これまでの実績を生かして、きめ細かなビジネス戦術や交流事業を組み立てていく大切な時期にさしかかっています。中国東北部やロシア極東との地方空路や航路も、こうしたプロジェクトでさらに生きてきます。中国からの観光客の誘致、企業の誘致の動きも、各地で活発になっています。
Q: なるほど、地方が描いてきた北東アジア経済圏というイメージが、次第に目に見える形になってきたように思います。今回の北東アジア経済会議でも、いくつかの提案が出されたのでしょうね。
(中村) はい。環境協力では、京都議定書がロシアの批准で発効したことで、北東アジアでのCDM/JIの実施がにわかに注目されるようになってきました。CDM/JIとは、温室効果ガスを削減するための協力や排出権取引を中国など途上国と行うクリーン開発メカニズムと、ロシアなど先進国同士で行う共同実施を指す言葉で、これからの環境ビジネスにも可能性を広げるものです。そのため、具体的なプロジェクトを立ち上げていくための情報交換やキャパシティビルディングを目指し、環境常設分科会を設置して頻度の高い協議を行おうと提案しました。エネルギーでは、太平洋パイプラインをめぐって、ロシアと日本、ロシアと中国が競いあうように交渉していますが、エネルギーの安定供給・安全保障のためには、こうした需要国同士の連携を強めていこうと提案しました。

輸送回廊では、産業・観光の話題が加わり、「観光を主題とした常設分科会を設置する時期にきている」という意見も出されました。輸送インフラの整備、日本海航路の実現などへの働きかけは続きますが、”ものづくり”や”まちづくり”の協力にも舵を切ってきたと言えるでしょう。

Q: こうした提案を、会議ではこれからどう扱っていこうと考えているのですか。
(中村) 4つ目の専門家会合の「経済開発ビジョン」では、来年度に「北東アジア経済開発ビジョン」を提示することを提案し、全体会議でもそれが確認されました。私どもERINAが事務局となって各国・地域と協議しながら、各分野のプロジェクトや提案がそれぞれの国や地域でどのように実現されていくかを課題と共に取りまとめ、それが今後の北東アジアの安定や繁栄への働きかけの指針となっていくようにしたいと考えています。
Q: ありがとうございました。