「2007北東アジア経済発展国際会議イン新潟」からの政策提言

NHKラジオ第一放送「ラジオあさいちばん」
 放送

Q: 2月5日~7日、新潟市で「北東アジア経済発展国際会議」が開かれました。アメリカ、EUという世界経済の極に対して、日中韓3カ国を中心とする東アジアがクローズアップされていますが、新潟ではエネルギー大国ロシアを含めた北東アジア経済圏の議論が1990年代から続いています。きょうはこの会議の事務局を務めたERINA=環日本海経済研究所・調査研究部長の中村さんに、会議の成果を伺います。中村さん、まず北東アジア経済圏というと、どんなことが注目されるのでしょうか。
(中村) 北東アジアでいま、真っ先に思い浮かぶのが北朝鮮の核問題をめぐる六カ国協議です。今回の協議で、北東アジアでの対話路線が改めて強調されたともいます。新潟での会議でも、東西冷戦が終わり、経済のグローバル化とともに浮上してきた北東アジアの経済協力、地域経済や地域社会の安定的な発展を目指して、毎年のように議論を重ねてきました。最近特に注目されるのは、資源大国ロシア、生産・消費大国の中国などをめぐるエネルギー問題や環境問題、活発化する貿易や投資、その経済をつなぐ物流問題やFTAの問題などがあげられます。

こうしたことは国の問題だったり、地方の活性化につながるテーマだったり、企業のビジネスチャンスだったりします。ですから、北東アジア各国の中央や地方の政府、シンクタンクや大学などの研究者、企業関係者など、さまざまな人が一緒になって議論をしています。

Q: 多くの方面で、突っ込んだ議論があったと思いますが、その内容を分かりやすく教えていただけるでしょうか。
(中村) 6つの分科会の議論を詳しくお伝えするのは難しいのですが、それぞれの分科会が専門的な議論を行い、政策提言を発表しました。まず、エネルギー分科会では、エネルギーの生産国と消費国、あるいは消費国同士で官民の対話を続け、北東アジアにおけるエネルギーの安全保障を確立し、共同して世界に対する責任を負うことを認識する必要がある、と提言しました。

環境分科会では、京都メカニズムによる省エネルギーや再生可能エネルギーなどの環境改善プロジェクト、環境ビジネスを発掘するとともに、ある種の環境協力機構を設立して、その推進を図るべきであると提言しました。

Q: なるほど。エネルギーの生産国・ロシアを含む北東アジアならではの論点なのですね。
(中村) そうですね。次に投資と貿易についてです。投資問題では、日本でもインベスト・ジャパン事業があるように、北東アジア各国で活発化している外資の誘致について議論されました。外国資本を国内に誘致するいわゆるインバウンド投資が新しい段階に入ってきたことを認識し、それぞれの国や地方における投資環境の整備や、そこに携わる人材の育成を目指すことの重要性が提起されました。このようにグローバル化する投資傾向がある一方で、北東アジア地域内での貿易の自由化、FTA交渉は難航しています。FTA分科会では、北東アジアにおけるFTAの経済効果を肯定的に評価した上で、日中韓FTAの政府レベルの共同研究を速やかに進めるべきであると提言しました。
Q: 新潟など地方都市でも外国企業の進出、投資が始まっていると聞いていますが。
(中村) はい、中国の企業も入り始めています。こうしたヒト、モノ、カネの動きと密接な、物流と観光の分科会もありました。物流分科会では、日本海を横断する北東アジアフェリー航路の実現のための積極的な協力を求めました。北東アジアフェリー航路は現在、韓国・東海岸の束草(ソクチョ)、新潟、ロシア沿海地方のザルビノを結び、中国の東北部とも連結するルートの開設準備が進められています。観光分科会では、北東アジアの観光資源を活用するための共同戦略や観光プログラムが策定されることへの期待が表明されました。
Q: こうしたさまざまな提言で、中村さんなりにもっとも重要なことを上げるとしたら何でしょうか。
(中村) 大切なことは、こうしたさまざまな分野の政策やプロジェクトを多国間で進めながら、日本でも中国でもロシアでも、地方が自らの活性化につなげていく努力をしていくことだと思います。そして、地方もまた、独自の地域戦略やプロジェクトを打ち出し、中央や北東アジア地域に発信していくことが大切です。会議ではこのほかに、北東アジアの食糧・農業問題、人材育成問題、開発のためのファイナンス問題なども提起されました。私たちERINAの研究課題でもありますので、こうした提案をしっかり受け止め、活動していきたいと考えています。
Q: ぜひ期待したいですね。今朝はありがとうございました。