ノヴァテクが3つ目のLNGプロジェクトを準備中

2019年05月29日

エリナのささやき

世界中がテレビドラマに刷り込まれたように衝動化しているのでしょうか。アメリカで頻発する乱射事件、日本でも起こった無差別殺傷事件、そしてEU議会選挙では民主主義制度の代表格・英国の2大政党制が崩壊してしまいました。最大議席を獲得したのは、お構いなしで離脱を推進するブレグジット党(得票率32%)。EU残留を掲げる自由民主党が2位(19%)。2大政党の一つ労働党は3位(14%)、政権与党の保守党に至っては得票率が2桁に満たない5位(9%)でした。方向を見失った英国はどうなってしまうのでしょう。▼パリでは「黄色いベスト運動」が28週目に。デモの参加者は減って来たけれど、相変わらず凱旋門辺りの地下鉄が閉鎖されるなど厳戒態勢が敷かれているようです。こちらの選挙結果もマリーヌ・ルペン氏の極右政党・国民連合が政権与党の共和国前進を抑えたとか。▼ベンチに座ってクレープを食べたいけれど、天気悪いしなぁ、という1枚(↓)。▼今日の海外ビジネス情報は、ロシアのノヴァテク社が3つ目のLNGプロジェクトを準備中、という話題。

海外ビジネス情報

◇ノヴァテクが3つ目のLNGプロジェクトを準備中

ノヴァテクは、2019年中に早くも「ヤマルLNG」、「Arctic LNG」に次ぐ3つ目の自社のLNG生産プロジェクトの投資決定を行うことにしていると「コメルサント・デイリー」紙に語った。21日、ノヴァテクが年明けに設立した「オブスキーLNG」社のウラジミル・フルティン社長が、設備のサプライヤーとの会議でこのプロジェクトの規模を説明した。サベッタ港に3つのラインから成るLNGの年間生産力480万トン規模の工場ができる。タスが報じているフルティン社長のプレゼンによると、第1期完成分は2022年第4四半期の稼働が予定されており、フル操業への突入は2023年の予定だ。これより規模の大きな「ヤマルLNG」の実績を踏まえると、サベッタでの総生産量は2320万トンに達しうる。

「プロジェクトの詳細と実施期間は暫定的なもので、ロシアのサプライヤーや下請けの候補者からの提案を受けるために提示された」とノヴァテク側は説明している。さらに、目下、オブスキーLNGプロジェクトのコンセプト面の検討、測量が行われており、設計・デザインが始まりつつあるという。

同プロジェクトの原料供給源になるのは、ヤマル半島のベルフネチウテイスコエ鉱床とザパドノーセヤヒンスコエ鉱床で、サベッタから80キロの地点にある。これらの埋蔵量は1570立方メートル(SEC基準)だ。

同プロジェクトの重要な特徴となるのが、完全にロシアの設備、ロシアの液化技術を使って行われる点だ(「北極の滝(Arctic Cascade)」というLNG技術、特許はノヴァテクがもっている)。このため、液化ラインの生産力は「Arctic LNG」の660万トンに対して160万トンと小さい。しかるべきロシア製のガスタービンがないために、ライン1本の生産力が抑えられている。現在ロシア国内で製造されているタービンは32メガワットまでで、生産力160万トンのラインはまさにこのタービンをベースにしている。液化のようなプロセスでは、ライン1本の規模は効率に直結しており、通常はできるだけ大型のラインをつくるほうが有益だ。同時に、ロシア製の設備は外国製の半分の価格だと、ノヴァテク社側は本紙に強調した。(コメルサント・デイリー5月22日)