日本がロ極東での新たな協力の展望をロシア側に示した
2021年01月28日
ウラジオストク
海外ビジネス情報
◇日本がロ極東での新たな協力の展望をロシア側に示した
ロシアと日本がロシア極東と北極圏における新しい協力構想について協議している。
日本側が発起し、ロシア極東と北極圏での国際協力の主要方針を記した新たな構想の草案をロシア側に提示した。アレクセイ・チェクンコフ極東・北極圏開発大臣と上月豊久駐ロ日本大使はすでにこの草案の検討に入っている。
取り上げられた問題は深刻なものだ。コロナ禍により極東連邦管区の対日貿易高は縮小し続けている。2020年1~11月の貿易高は52億ドルで、前年同期を22.6%下回った。日本人投資家はロシア極東に創設された先行経済発展区とウラジオストク自由港において11件のプロジェクト(計1億8100万ドル)に参画している。しかし、双方は、日ロ経済連携のポテンシャルがまだ十分発揮されていないと指摘している。
貿易経済協力の活性化を見据えた新構想では、一度に複数の分野(エネルギー、物流、水産加工業、港湾・輸送インフラ、都市環境整備、観光業)での連携の拡大が想定されている。特に重視されているのは、輸出志向型農業プロジェクトだ。日本側はロシア極東産の大豆やトウモロコシなどの農作物の輸入や、海藻の栽培・加工、漁業、野菜・イチゴ・玉ねぎ栽培用温室の建設プロジェクトに興味を示している。
さらに、日本側は北極海航路の開発にも積極的に参加する方針だ。上月大使によれば、北極海航路による物流は従来の航路よりも40%効率的だという。日本企業はすでにLNGタンカーによる北極海航路を経由したLNG輸送を行っている。
チェクンコフ大臣はこれらの分野での協力の意義の高さに賛同し、ロシア極東と北極圏における国の優先事項は人々の生活水準の向上である、と強い調子で述べた。当然、ロシアは特にこの課題の達成を見据えた貿易経済協力と技術協力に前向きだ。
チェクンコフ大臣によれば、ロシア極東では木材住宅を建設するための日本のノウハウや先端技術が特に必要とされている。ロシア極東における協力路線として有望なのが、輸送インフラ、中でも新しい港湾施設の建設だ。大臣はさらに、ロシア極東と北極圏の両方における科学技術の進歩の重要性を強調し、日本企業と学術界に対し、沿海地方ルースキー島の高度科学技術産業クラスターの創設に参加するよう呼びかけた。(ロシースカヤ・ガゼータ 1月20日)