サハリン州を水素電車が走る

2021年05月12日

ウラジオストク

海外ビジネス情報

◇サハリン州を水素電車が走る

「トランスマシホールディング」社(主要株主:アンドレイ・ボカレフ氏、イスカンデル・マフムドフ氏)がロシアで初めて水素で走る列車をつくり、サハリン州に供給する。試算では、水素電車7本の費用総額は30億ルーブルあまりとなる。「トランスマシホールディング」社(TMH)とロスアトム、サハリン州政府は、サハリンで水素電池の旅客列車を走らせることにした。

Telegramチャンネル「Energetic insight」で行われたロシア鉄道の発表によると、TMHは2024年までにサハリンに水素電車7本(総額30億ルーブル以上)を納品する。これらの列車の運賃は1キロメートルあたり1.8~27.30ルーブルになる(RBCは、このプロジェクト参加者に近い情報筋にこのことの信ぴょう性を確認した)。

TMHは4月23日、サハリン州内での運行を目的とし、燃料電池電車用の充電インフラを整備するための合弁企業を設立することでロスアトムの子会社「Rusatom Overseas」と合意したと、発表。「両者は、運輸部門で利用できるように外国の最先端の水素エネルギー技術を現地化し、水素販売を確保・整備をしていく目標を掲げている」とTMHの広報資料には記されている。「これはサハリン州の重要なパイロットプロジェクトであり、ロシア鉄道、国営ロスアトム、トランスマシホールディング、サハリン州政府によって徹底検討された。我々はその成功に向けて精一杯注力する。ロシアの他の地域も、水素燃料交通機関の将来性を大いに感じている」と、Rusatom Overseas社のエブゲニー・パケルマノフ社長は表明した(広報資料より)。

ロシア鉄道の発表によると、TMHは水素電車は2両編成が5本、3両編成が2本提供される。2両編成1本の価格は4億500万ルーブル、3両編成は4億9200万ルーブルと見積もられている。

ロシア鉄道はこれらの列車をリースしインフラを整備する。一方、ロスアトムはサハリン州政府が提供する用地に水素工場を作る。投資額は、ロシア鉄道が2億6千万ルーブル、ロスアトムが920万ユーロ(約8億3300万ルーブル)と見積もられている。(RBC 4月23日)

 

◇ロスアトム子会社がサハリンで水素を製造

「Rusatom Overseas」社(ロスアトム系列、国外にロシアの原子力技術を提供)とフランスの産業ガスメーカー、エア・リキード社(Air Liquide S.A.)はサハリンで年間生産量3~10万トンの水素工場の建設を計画している。このために、最新式の浮体式原子力発電所(設計番号20870、原子炉RITM-200使用)が設置される可能性がある。

専門家の試算によると、このプロジェクトは約2千億ルーブルを要する。ロシアエネルギー省は産業育成のために早くも、サハリンに優遇税制が付与される「水素バレー」の形成を提言した。

サハリンで作られる水素は日本に輸出される可能性がある。2019年には「Rusatom Overseas」社が海路による水素の対日輸出のフィジビリティ・スタディーを行うことを発表している。(KONTINGENT 4月23日)