仏トタルがノヴァテクのLNGターミナルの株を取得
2021年05月19日
コムソモリスク・ナ・アムーレ
海外ビジネス情報
◇仏トタルがノヴァテクのLNGターミナルの株を取得
ロシアの独立系天然ガス生産・販売会社ノヴァテクは、仏石油メジャーのトタルによる「アルクチチェスカヤ・ペレヴァルカ」社(カムチャツカ地方とムルマンスク州で建設中のLNG(液化天然ガス)積替基地の事業主体)の株の10%の取得について、合意書に署名した。
この取引は、トタルがこれまでの経費をノヴァテクに補償するというもの。カムチャツカの積替基地におけるLNGの年間貨物処理能力は2千万トンだが、将来的には年間4千万トンに拡大する。積替基地には浮体式LNG貯蔵施設(容量36万立方メートル)と2カ所の積替えポイントが含まれている。ノヴァテクは、これによって、ヤマル半島で生産したLNGをアジア太平洋地域へ輸送する際のコストを削減しようとしている。
カムチャツカの施設建設費は1080億ルーブルとみられる。このうち、700億ルーブルはノヴァテクが負担する浮体式LNG貯蔵施設と沿岸インフラ施設の建設費、380億は連邦が負担する浚渫工事と船舶用運河工事の費用である。
暫定情報によると、ノヴァテクは、さらに3社をターミナル建設プロジェクトに引き入れようとしている。この結果、ノヴァテクの保有シェアは60%になる。これに向けて、ノヴァテクは「アークティックLNG2」の主要株主ら(中国のCNPCとCNOOC(中国海洋石油集団有限公司)、日本の三井物産とJOGMEC(石油天然ガス・金属鉱物資源機構)のコンソーシアム)との交渉を進めている。天然ガス産出プロジェクトの株主各社が10%ずつ株を取得することで、その積替えからも収入を得ることができるようになる。さらに、日本の国際協力銀行(JBIC)が積替基地に資金提供する可能性についても検討中である。このことについては、2019年にノヴァテク側から発表があった。JBICの融資総額は2つの積替基地への民間投資の30~40%を占めるという。(EastRussia 5月4日)