失われつつあるモンゴルの草原

モンゴルの国土は南部がゴビ砂漠、北部が針葉樹林に覆われた山岳地帯で、首都ウランバートル周辺から北には高原(草原)が広がっています。ウランバートル市の標高は約1350メートルで冬は寒さが厳しく、1月の平均気温はマイナス21.7度と世界の首都の中では最も低いです。夏は7月を中心に最高気温が30度を超える日も多く、日差しは強烈で、紫外線対策をしないと街中を少し歩いただけでも日焼けしてしまいます。

写真の草原は、ウランバートルからロシア国境の街、アルタンブラグに向かう途中です。こういった広大な風景の裏側では、森林伐採や砂漠化が進行しており、毎年多くの草原が姿を消し、砂漠となっています。こういう風景は実はモンゴルでは貴重なのです。ひとたび草がなくなると、砂嵐が起こりやすくなり、いろいろなものが砂に埋もれていきます。南部のゴビ砂漠の中を列車で横断しましたが、岩と石と少しの草だけで、荒涼とした風景でした。

トッときガイド 2017年 11・12月号
「隣国情緒 北東アジアレポート」No.84