30年前の上海にタイムスリップ
昨年、上海の郊外で開かれた都市開発成果展示会で撮った「1991年7月・建設中の東方明珠」=写真=のおかげで、90年代初頭の上海にタイムスリップすることができました。
上海のランドマークと言えば、東方明珠電視塔(東方テレビタワー)を思い浮かべる人が多いと思います。大小さまざまな球体を11個つらぬくこの建物は唐代の詩人・白居易の詩「大珠小珠落玉盤」(大小の真珠が玉の大皿にこぼれ落ちるような賑々しさ)を表しています。その立地は上海市内を流れている黄浦江の東側、いわゆる「浦東」にあります。
現在の超高層ビルが林立している様子とは違って、30年前の浦東はとても立ち遅れていて、上海人の間では「浦東の一部屋より浦西(黄浦江の西側)のベッド一つの方がまし」という認識が一般的でしたが、1990年4月から実行に移された浦東開発・開放計画はこの状況を一変させました。外灘(バンド)の向かいに五本足の「怪物」が急に現れたのはその翌年でした。
今年、浦東開発・開放30周年を迎えます。この写真は高度成長期に突入する直前に萌え出る「芽」が記録された瞬間です。
ERINA(環日本海経済研究所)
調査研究部研究補助員 徐学斐
トッときガイド
2020年 3・4月号
「隣国情緒 北東アジアレポート」No.98