美しい草原を元の姿に

6月は環境月間。今回は中国内モンゴル自治区の「草原の砂漠化」についてお話します。

昨年、私は日本人の友人と一緒に私の故郷・内モンゴル自治区へ行きました。錫林(シリン)郭勒(ゴル)草原に行き一帯を眺めると、そこは緑一面とは言えない状況でした。遠くのほうは緑の大地が続いているのですが、手前の草原は、元気のない短い草がまばらに生えていて、緑というよりはむしろ黄土色が主の色合いでした。

内モンゴルの友達の話によると、われわれが見た草原はまだいいほうで、さらに西方のオルドス草原の砂漠化はもっと深刻で、黄砂が1日に10cmのスピードで草原を侵食しつつあるといいます。1年前はこの地域は草原でしたが、今は草木が点在するだけです。

先日、モンゴル族の女性イラナさんが草原砂漠化防止のチャリティーコンサートを東京で開催するとの記事が『産経新聞』(2008年2月29日)に掲載されました。彼女は5才の時から馬頭琴を習い、「草原のチェロ」といわれるその美しいメロディーを用いて、内モンゴル自治区の草原を救い、日本の上空まで舞い上がる黄砂を抑制する事業に、地道な演奏活動で支えようとしています。実際にはこれまで多くの日本人が毎年春にボランティアとして、砂漠化防止のために現地の活動に参加しています。もちろんその中には新潟県の方もいます。

6月1日~3日、「2008年日中経済協力会議於新潟」がここ朱鷺メッセで開催されます。この会議でも省エネ・環境は重要なテーマのひとつです。これを機会に皆さんにも「草原の砂漠化防止」に対して関心を高めてほしいと思います。

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砂漠化が進むオルドス草原

トッときガイド 2008年 5・6月号
「隣国情緒 北東アジアレポート」No.27