たまにはシベリア鉄道に乗って
ロシア極東の9月は気持ちがいい。汗をかくほど暑くなく、重ね着するほど寒くない。こんな季節は、あせらずゆっくり、シベリア鉄道の旅もいい。
私たちがよく使うのは、ウラジオストクからハバロフスクへ向かう夜行列車(写真)。ウラジオストクは「港町」「終着駅」という言葉が似合う切ない感じの街で、ハバロフスクは大陸の真っただ中に放り込まれた感じの間尺の大きな街だ。
そんな色合いの違う二つの街の間を列車が移動する。新幹線より広い軌道だから、どことなく走りが力強い。日没頃、ウラジオストクを出発し、カバンに忍ばせたウォッカとピクルスを取りだしてチビリチビリやるにつれ、アムール湾の残照が黒い夜空に変わっていく。
明日の朝、ハバロフスク到着は早いけれど、客室係が起こしてくれるだろう。「おばちゃん」だった客室係が近頃は「おねえさん」だなぁ、などと呟いているうちに首尾よくウォッカが回ってきたぞ…。
ERINA(環日本海経済研究所)
企画・広報部長 中村俊彦
トッときガイド
2011年 9・10月号
「隣国情緒 北東アジアレポート」No.47