河北省の春

この冬、新潟は雪で大変でしたが、故郷の河北省はだんだん春が近付いていることでしょう。

私の故郷は河北省の易県、北京から西南方向で100キロのところです。田舎ですが、長い歴史を持ち、様々な出来事があった地域です。特に、始皇帝を暗殺しようとした荊軻(けいか)という燕国の刺客がいて、暗殺に行く前に易水と呼ばれる川を渡り、「風蕭々として易水寒し、壮士ひとたび去って復た還らず」の名句を残したことは司馬遷の『史記』などでも有名です。その易水は我が家と農地を挟んで流れ、柳の木も多く、子供の頃、よく遊んでいた川です。毎年春が来ると、子供たちは川の水草を取ったり、柳の枝で笛を作ったりしていました。

静かだった故郷は、最近、猛スピードで発展しています。広い道路、大きな橋がどんどん作られ、ビルも建てられました。村の周りの騒音も大きくなり、子供たちは往来する車に足を止めてしまいます。2012年の春が経済発展ばかりの春ではありませんように、私は日本で祈っています。

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荊軻タワー(易県政府のホームページより)

トッときガイド 2012年 3・4月号
「隣国情緒 北東アジアレポート」No.50