ハルビンにみる国際都市の歴史
新潟から直行便の出ている黒龍江省の中心都市・ハルビン市。この街は新潟の人々にとって既に身近な存在だろうか。人口は1,000万人以上。都市バスが数珠つなぎのように行きかい、タクシーの数も多い、至るところで高速道路が交差する。規模では東京やモスクワにも匹敵する中国の大都市だ。
歴史をたどると、この街はロシア人がつくった都市である。街に残る正教の聖堂がそれを物語る。その後、この街は日本統治下の時代を迎えたが、中国人や日本人のみならず多くの西洋人が居住していたといわれる。バレーやオペラの文化もあった。そうした中に、日本が設立したロシア語の高等教育機関・ハルビン学院がある。終戦まで全26期、千数百名の卒業生を生んだこの学院を志願し、卒業した日本の青年達の多くはその後、ソ連との貿易や学術研究の世界で活躍した。そんな学院の校舎が未だ残っているのだろうかと思い、たどり着いたのがある銀行の社屋だった(写真)。
ハルビンは歴史の重さや事実を考えさせる国際都市である。
ERINA(環日本海経済研究所)
経済交流部長 酒見健之
トッときガイド
2015年 3・4月号
「隣国情緒 北東アジアレポート」No.68